木彫りの継承者
現在では木の素材選定からデザイン、加工、彫刻、やすりがけ、彩色と一通りの作業をすべて1人でこなすまでに成長した樋口さん。
だが、「職人が一人前かどうかは、お客さんが評価すること。まだまだ勉強中」と樋口さんは口にする。神林社長も「看板を作ること自体は、看板屋の仕事の3分の1ほどでしかない。経営者として一人前になるまでに期待することはたくさんある」と言葉をつなげた。
樋口さんは将来の夢を「木と字の神林は、半世紀にわたって“字”を売り続けてきたユニークな会社。技術の継承者として自分の色を出しつつ、伝統を受け継ぎ、木彫りを続けていきたい」と語る。
縁で繋がった木彫り看板の会社と技は、これからも絶えず続いていく。
木と字の神林 樋口慧
1985年、福岡県北九州市生まれ。多摩美術大学造形表現学部卒。木の看板に惚れ込み、木と字の神林で修行を始める。現在、同社で技術の継承者として工具をふるいつつ、木彫り看板の新しい可能性を探求し、InstagramなどのSNSを通じた情報配信にも力を入れている。