1.木彫り看板には魂が宿る、木彫り看板職人

木彫りの継承者

現在では木の素材選定からデザイン、加工、彫刻、やすりがけ、彩色と一通りの作業をすべて1人でこなすまでに成長した樋口さん。

だが、「職人が一人前かどうかは、お客さんが評価すること。まだまだ勉強中」と樋口さんは口にする。神林社長も「看板を作ること自体は、看板屋の仕事の3分の1ほどでしかない。経営者として一人前になるまでに期待することはたくさんある」と言葉をつなげた。

樋口さんは将来の夢を「木と字の神林は、半世紀にわたって“字”を売り続けてきたユニークな会社。技術の継承者として自分の色を出しつつ、伝統を受け継ぎ、木彫りを続けていきたい」と語る。

縁で繋がった木彫り看板の会社と技は、これからも絶えず続いていく。

「お客様が驚く看板を」というオーナーからの意向を受け、栃木県から取り寄せた珍しいケヤキの根っこ材で作られた。樋口さんが職人を志すきっかけになった一品だ(2100×800×80㎜)

秋田県産の銘木、秋田杉から作られたかまぼこ彫りの看板。杉材は、木目が美しく軽量で耐久性にも優れる。一方で柔らかすぎて端が割れやすく、彫刻には技術が必要な素材である(2100×700×55㎜、35kg)

アサメラ材の看板。かまぼこ彫り、V字彫り、線彫り、浮かし彫り、うろこ彫りなど、要素ごとに彫り方を変えることで、平面な看板にリズムが生まれ、一つの立体的な絵としても楽しめる看板に仕上げた(1600×700×55㎜)

木と字の神林 樋口慧

1985年、福岡県北九州市生まれ。多摩美術大学造形表現学部卒。木の看板に惚れ込み、木と字の神林で修行を始める。現在、同社で技術の継承者として工具をふるいつつ、木彫り看板の新しい可能性を探求し、InstagramなどのSNSを通じた情報配信にも力を入れている。

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