4. ケー・エス・ピー 佐野浩司社長

オリジナルノベルティ「CMPEN」

営業の切り口を変えればトップメーカーの門戸も開く
現在では、ゴム工業、鉄鋼業、自動車産業、航空機産業のトップメーカーのほとんどと直接取り引きを交わす同社。その走りとなったのが2006年、航空宇宙産業も手がける大手企業との取り引きである。言わずもがな、真っ正面から看板の仕事が欲しいと言ったところで見向きもされない。では、いかに門戸を開いたのか。振り向いてもらうきっかけは、2003年から着手していたノベルティだった。

同社では当時、あまり日本で知られていないCMPEN(シーエムペン)の販売に乗り出し、いち早くオリジナル商品化していた。これは、巻き取り式の紙媒体をボールペンに内蔵したもので、ペン中央のタブを引っ張ると広告などの印刷物が広がる仕組みになっている文房具だ。佐野氏はCMPENそのものを同企業のロケットに見立てて提案。このユーモアが担当者に気に入られ、社員カレンダーを内蔵したペンとして採用が決まった。そこから、毎年継続的に注文を受けるようになる。

しかし、CMPENの受注は足がかりであって、本来の目的ではない。大きな転機は08年のリーマンショックに訪れた。それまでグループ会社に任せていた同クライアントの仕事が、他社へ相見積もりを取るようになったのだ。理由は、経費削減によるコストカット。これを逃す手はない。今までのCMPENの実績も認められ、すぐさま担当者から連絡が入り、手始めにロケット発射の成功記念パネルを受注。これを境に、同企業とのパイプは一層強固になり、子会社まで含め、さまざまな仕事を任されるようになっていく。

社員カレンダー、業務マニュアル、電車の時刻表、記念切符など、広告用途以外でも多彩な採用実績を持つ

直接取り引きだからこそ味わえる達成感と社員の成長
同社では、看板製作、広告販促、工場のフロアコーティングなどを手がける環境改善の3事業部制を採る。それぞれ全ての事業部にデザイン、製作・施工、営業のトライアングルも敷く。加えて20、30、40代の年齢層をバランスよく採用。互いに影響を及ぼし合い、切磋琢磨できるような体制としている。

CMPENを取り扱う広告販促事業部は、クリアファイルやクリップなどのノベルティを主力とする。地場の航空会社からは、周年ロゴマーク、ホームページ用のキャラクターデザイン、工場見学用の帽子製作も託される。ディズニーキャラクターを起用した一流ホテルのイベントディスプレイでは、デザインの起こしから一手に引き受けた。日本を代表する自動車メーカーの周年記念ノベルティも直接オーダーを受ける。営業力だけに頼らず、デザインも一級品の腕を目指してノウハウを高めてきた裏付けだ。

「当社は、若手のデザイナーでも力があれば積極的に仕事を任せています。エンドユーザーと直接取り引きしているからこそできるやり方です。元請けに迷惑をかけられないといった下請け気質に陥ると、こういった挑戦が難しくなりがち。お客様からダイレクトに感謝の言葉を頂戴するなど、直接取り引きだからこそ味わえる達成感もあります。これは、スタッフのモチベーションにも大きく寄与し、若いうちからプロ意識が強く芽生えてくれていると思います」

環境改善事業部は、表面がハードコート層になっているオリジナル床フィルム「貼れルーヤシリーズ」を主に取り扱う。防汚性に優れ、傷つきづらく、光沢を長期間維持するのが特徴だ。自動車メーカーをはじめとする大規模工場のフロアコーティング、安全歩行帯などのラインテープなどに採用されている。1案件につき、1,000㎡を越える大型案件もザラである。鉄道会社にもプラットホームのライン引きや点字サイン表面材として採用が進む。

大手広告代理店や印刷会社に引けを取らず、このように錚々(そうそう)たる大企業と直接取引を交わす同社。その秘訣について、佐野氏は次のように語る。「大手が持ち込む企画書やデザインに正面から太刀打ちしようとしたら、ペーパーの資料だけでは提案の肝が伝わりづらい部分も生まれます。しかし、私たちはモノづくりが生業の看板屋。等身大のサンプルが即興で作れます。どんな素材か、どんなスケールか、その場でクライアントに体感してもらった上で提案できるのが、最大の武器と考えています」

トップメーカーからの信任も厚いデザイナーら

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