出力加工後の防炎製品

前回は、不燃塩ビの防火認定について私なりの見解を示した。今回は、防炎認定における【材料】と【完成品】が異なる点を改めて明記したい。最初に、前回の防火は建築基準法、今回の防炎は消防法に規定されている点を、念頭に置いて欲しい。両者の違いを端的に述べると、防火は建物の一部となって「移動不可能」な建材や仕上げ材、防炎は建築完成後に設置される「移動可能」なタペストリーなどが該当する。

防炎の定義は、消防庁によると「小さな火源(マッチやライターなど)に接しても炎が当たった部分が焦げるだけで容易には着火せず、着火しても自己消火性(小規模燃焼において燃焼が継続しない性質)により燃え広がらなくなる性質」とされている。この防炎品は、法律で使用が義務付けられている「防炎物品」と、それ以外の「防炎製品」の2つに分かれる。後者の防炎製品とは、消防庁等の指導により普及が図られているもので、日本防炎協会の防炎製品認定委員会で防炎性能基準などを定めている。現在、サイン業界に流通する防炎品のほとんどは、防炎製品と言えよう。しかし、今後は顧客や案件によって、防炎物品の指定が増える可能性も高いのではなかろうか。

防炎認定の大きな区分

話を本題に戻そう。今回のテーマとした防炎製品は、サイン領域ではターポリンによる広告幕が代表的。国内でも、さまざまなメディアメーカーが防炎ターポリンを販売している。ただし、製作会社は、メディアメーカーの販売する防炎製品を仕入れたとしても、インクジェットによる出力加工を施せば、「これは防炎製品です」と言えなくなってしまう点に注意したい。要するに、インクジェット出力後の【完成品】を防炎製品として、クライアントに提供するためには、次の手順で製造事業者としての登録が必要になる。

①出力加工後の【完成品】で防炎性能試験に適合→ ②日本防炎協会に製造事業者の登録を申請→ ③「品質管理の説明書」などを作成→ ④同協会の職員を自社に招き、審査を通過→ ⑤先に試験を受けた、防炎製品の認定と事業所の登録へ移行→ ⑥製品と事業所の番号が付与され、認定ラベルの申請が可能となる。品質管理の説明書などの提出書類は、同協会のWebサイトに書式と記入例が公開されている。近頃は、書式の簡素化も図られ、あまり悩まずに作成できるため、登録の申請を強く勧めたい。

しかし、現状は残念ながら、防炎ターポリンの【材料】に対する認定ラベルを、出力加工後のメディアに貼付するケースも少なくない。言わずもがな、これは違法行為にあたってしまう。1日も早く是正されることを切に願う。法令遵守の働きかけは、業界全体で呼びかけあっていきたいところだ。なお、メディアやプリンターの変更にあたり、新規商品または同じ扱いになるかは、条件によって異なるため、同協会に直接問い合わせて欲しい。

今回で防火・防炎に関する話は一区切りとし、次回は産廃のリサイクルについて触れてみようと考えている。

    文・髙木 蓮
    20年以上にわたり、サイン業界に身を置き、資機材メーカーのトップセールスマンとして活躍。日本を代表する製造業大手からの信頼も厚く、その人脈と知見をもとに、さまざまな新商品の開発にも携わる。

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