社員第一の心が生んだ開放感のある新社屋
業界団体での活動も経て、着々と社員を増やし続けている同社。注目すべきは、社員定着率の高さだ。その要因について、「社員にとって働きやすい職場環境を第一に考えているからだと思います」と中山氏は語る。
まず重要視しているのは、年間休日125日以上の確保。完全週休2日制を維持し、月1回は有休も取得できるそうだ。ともすれば当然とばかりに休日出勤が重なるのは、古いサイン業界の悪しき習慣とも言える。しかし中山氏は、はんこ印刷センターを開業した当初から、必ず週休をとるのをポリシーとしている。オン・オフの切り替えをしなければ、かえってメリハリをつけられず、業務時間にダラダラしてしまう恐れがあるからだ。
また、知識のない状態でサイン業界に参入したからこそ、資格取得の大切さが身に染みたのだと中山氏。社員のスキルアップにも力を注ぎ、資格補助は全額支給としている。そのおかげか、屋外広告士をはじめ、電気工事や塗装関連など、社員は必ず、いくつかの技能を取得。より専門性の高い需要にも柔軟に応えられる体制を整えている。
頑張っている社員に、より良い環境で働いてほしい。その思いの集大成となったのが、設計デザインから手がけ、3 月に落成した新社屋だ。
デザインテーマは、「働き手を第一に考えた設計」と「看板屋に見えないオフィス」。クリーンで広々とした空間を目指し、ガラス張りをメーンに開放感のある設計とした。部署間の間仕切りもなくし、社員同士のコミュニケーションを促進。工場は吹き抜けの作業場となっており、社員が駐在している2階からも、ウインドウを通して意思疎通のできる構造となっている。
また、社員が過ごしやすいよう、自由に使えるカフェコーナーや、リフレッシュ用のシャワー室も完備。社長室も名ばかりで、大型のテレビモニターを設置して、いつでも利用できるミーティングルームとして開放している。
もちろん、訪れる人たちへの配慮も忘れない。商談スペースは広々とした設計で、サインデザインやピクトもオリジナルのものを採用した。「ある意味、当社のデザイン力を示すショールームとしての役割も持っている」と、力強く話す中山氏。実際に新社屋ができて以降、デザインの相談に訪れる来客者も増加傾向なのだという。