新型コロナウイルスの感染防止と経済回復の両立に向けて、「抗菌・抗ウイルス」というキーワードに注目が集まる。サイン領域で考えるならば、屋内掲出のインクジェットメディアやウインドウフィルムに対する、抗菌・抗ウイルス性能の付与などが挙げられよう。では、それらの性能を担保する国際規格などはあるのだろうか。
ひとつの明確な指標として、国際規格に準拠した「SIAA」と「SEK」という認証マークに、さまざまな業種のメーカーから期待が寄せられている。サイン業界でも、抗菌・抗ウイルスという単語が飛び交うなか、「それは何を根拠としているのか」、しっかりと見極めたい。ここで取り上げるSIAAは、国際規格に則った指標であり、他にもATP検査などの公的に認められた試験がある。
SIAAは繊維製品以外の抗菌加工(ISO 22196)・防カビ加工・抗ウイルス加工(ISO 21702)、SEKは繊維製品の抗菌加工(ISO 20743)・抗ウイルス加工(ISO 21702)などを証明する。
サイン業界で言うと、SIAAは塩ビ・PET・合成紙、SEKはポリエステルといった資材が該当するだろう。次からは、SIAAの基礎と現状について触れたい。
SIAAマークは、抗菌製品技術協議会という民間団体が管轄する。同協議会では、抗菌・防カビ・抗ウイルスに求められる品質や安全性に関するルールを整備し、それに適合した加工製品について、SIAAマークの表示を認めている。主な会員は、抗菌・防カビ剤や加工品メーカー、試験事業者で構成している。
最も認定数の多い抗菌加工であれば、試験方法は国際規格のISO 22196(国内規格:JIS Z 2801)に定義されている。これに適合するには、抗菌加工されていない製品の表面と比較し、細菌の増殖割合が1/100であり、耐久性試験後も抗菌効果が確認されなければならない。試験先は、経済産業省が認定した登録試験事業者に限られる。
しかし、試験を通過できる製品スペックを持っていても、それだけでは、認証の証明となるSIAAマークは表示できない。そのためには、抗菌製品技術協議会への入会が必要となる。会員自らが、ガイドラインに対する適合を自己責任で認証するとともに、品質と安全性に関する情報公開の意思を示し、マークを運用していく仕組みとなっている。