高所作業でフルハーネスの着用が完全義務化

では、これまで安全帯として使用してきた胴ベルト型の定義はどう変わったのか。「一本つり」は、フルハーネス型の着用者が墜落時に地面へ到達する恐れのある高さ6.75m以下でのみ使用できる。柱上作業などで使用してきた「U字つり」は、墜落制止用器具として認められず、ワークポジショニング用器具に分類。高さ2m以上で作業を行う場合は単独での使用が認められず、フルハーネス型との併用が必須となった。なお、胴ベルトも2022年1月2日以降は新規格に適合したものでないと使用できない。

厚生労働省によると、胴ベルトは墜落時に内臓の損傷や胸部などの圧迫による危険性があるとし、「国際規格では着用者の身体を肩、腰部、腿などの複数カ所で保持するタイプを採用している」と、フルハーネス型を原則化した背景を発表している。

さらに、安衛則の改正では、該当する労働者に対して「安全衛生特別教育」を受けさせることも事業者に義務づけている。違反すると、6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられる。特別教育の内容はフルハーネス型の装着方法やランヤードの取り付け方法などの学科4.5時間と、実技1.5時間で構成する。

該当する労働者の定義は以下のとおり。なお、高所作業車のバスケット内については、作業床があると認められるものの、高さ6.75mを超える作業でフルハーネスを着用する場合は、特別教育の受講が推奨されている。

高さが2m以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところにおいて、墜落制止用器具のうちフルハーネス型のものを用いて行う作業に係る業務(ロープ高所作業に係る業務を除く)。

墜落制止用器具の構造規格についても、求められる衝撃耐性が非常に厳しくなった。墜落制止用器具と取付設備をつなぐ命綱のランヤードは、衝撃を吸収するショックアブソーバ、フック、ロープなどで構成している。そのショックアブソーバについて、「第1種」と「第2種」という規定を新しく設定。腰より高い位置にフックをかける場合は第1種、足元にフックをかける場合は第2種の選定を義務化した【図4】

【図4】 ショックアブソーバの選定について。左が第1種、右が第2種

ポイントとして、第1種は自由落下距離1.8mで墜落を制止した際の衝撃荷重が「4.0kN(キロニュートン)以下」、第2種は自由落下距離4.0mで墜落を制止した際の衝撃荷重が「6.0kN以下」と定められている【図5】。旧規格は一律で8.0kN以下であったのを考えると、新規格の衝撃耐性がいかに厳格化されたか分かる。

【図5】 新規格で厳格化された衝撃耐性

※ ランヤードの取り付け高さや、フルハーネスを結合する環の高さ、ランヤードの長さ、ショックアブソーバ(第1種)の伸びの最大値などを考慮すると、実質5m以下であるのが望まれる

画像出典:厚生労働省

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