同業他社との差別化や商品価値の維持、プレミアム価格の確立を理由に、ブランド戦略を経営の要として重視する企業は少なくない。 店舗サインや看板、商用車のロゴマーキングに欠かせないビジュアルアイデンティティ(VI)をどう管理していくか。サイン製作会社からしてみれば、そこに多店舗を展開するフランチャイズ受注獲得のカギがあるはずだ。その秘訣を、オリジナルのVI管理システムと日本HP のLatexインク搭載プリンターを武器に、全国的に著名なFC案件で数多くの実績を有するアクトの事例から読み解く。 |
_神奈川県川崎市に本社工場を構えるアクトは、このVI戦略の重要性に着目し、「フリートマーキング」「店舗サイン」の領域で、独自のVI管理/運営システムを構築。今では従業員94人の体制で、大手運送会社や全国規模のコンビニチェーンなどのブランド戦略をサポートしている。
_アクトのVI管理システムは、車種・サインの仕様ごとに、図面、製作情報、報受注履歴をデータ化して保管。商用車/看板/店舗で変わることのない統一されたVI管理を行い、フランチャイズ展開する企業からの信頼を勝ち得て、直受けで多数の案件を受注することに成功している。
_他社には無いVI管理システムの優位性から、出力案件が日々舞い込む。そんなアクトの企画・デザインから製作・施工までの一貫体制を支えているのが、日本HPの水性HP Latexインクを搭載した大判IJPだ。
_アクトではもともと高速出力の溶剤IJPを保有していたが、HP Latexプリンターが世に登場した2008年に、環境への配慮や数々の利点に注目し、すぐに導入を決めた。今では、HP Latex 360プリンターをはじめ、計4台がフル稼働している。
_最新機種の「HP Latex R2000 Plusプリンター」にも興味があるという、同社でオペレーション業務に長年携わってきたマーケティング部 課長代理・渡邊祐基氏に、HP Latex 機の導入意図や溶剤と比べ何が違うのか? 今後の事業展開とともに、大手案件獲得の秘策を聞いた。
企業ブランドを守る独自のVI管理システム
ー現在の事業内容と各ボリュームを教えてください
_運送会社のトラック、コンビニの配送車、スクールバスなどの商用車ラッピングが全体の6割を占めます。残りがチェーン店舗の看板、ファッションブランドのウィンドウサイン、内装です。クライアントの多くは、北海道から沖縄まで店舗展開をしている大手FCが中心で、車両であれば1社から数十台を受注することが少なくありません。
_そのため、どんな車種のオーダーにも迅速に応えられるようにトラックやバスも含めた商用車、さらに一般車の4面図を豊富にストックしています。新車が発売されれば、カタログからデータを起こしたり、レンタカーを借りて実測したりするなど、500車種以上の車両データを専用システムで保管しています。これにより、車両の形状やデザイン位置などを熟慮した上で、最適なマーキングレイアウトが行えます。製作した図面や完了写真は、全てバックアップし、追加依頼や補修にも即座に応じられるのが強みです。
_製作環境は、大ロットのものはスクリーン印刷、小ロットであればIJ出力、切り文字などはカッティングマシンと、用途によって使い分けています。IJPはかつて溶剤機も使用していましたが、自身がオペレーターを務めていた7年ほど前から、全てのマシンはHP Latexプリンターに切り替わっています。
_出力ルームは、溶剤機が稼働していた頃は、溶剤特有の臭気が充満して、オフィスの方まで臭いが漂い、空調ダクトで常時換気を行っていました。その点、HP Latexインクは臭いが全くしないので、今では設備を取り外してしまっています。
即納オーダーには“速乾性”で失注無し
ーHP Latexプリンターを選んだ理由とは何でしょうか
_最大のメリットが“乾燥時間”です。とくに車両ラッピングは納期がタイト。デザインが手元に上がってくるのが遅く、印刷には時間が割けません。溶剤では出力と乾燥に3日、ラミネート加工も含めた貼り施工でさらに3日をみる必要があります。トータルでは1週間を要していました。HP Latexプリンターであれば、出力に2日と、施工で2日の計4日あれば済みます。今日注文が来て、週内に納期を求められても対応できる計算です。
_当社では、商用車のラッピングは5年の屋外耐候性を基準としています。運送会社や企業のロゴマークが入った車などは、一度貼ったら短期で貼り替えることは無いからです。その要求に応えるべく、HP Latexプリンターを始めて採用したとき、社内で溶剤との検証を行いました。さまざまなメディアと組み合わせ、「HPLatexインクなら行けそうだと確証を得たことで、いまでは5年の長期保証をしています。
_ただ、優れた耐候性・耐久性を有するHP Latexインクであっても、屋内/屋外駐車や洗車、メンテナンスなど使用環境が全く異なるカーラッピングでは、万一の事態を考慮してラミネートを施しています。しかし、HP Latexインクは速乾性があるため、すぐにラミネート加工に移れるのも、溶剤には無い利便性です。
_また、溶剤機を使っていたときは、溶剤インクがメディアを溶かして浸透し、粘着面へ悪影響を与えるのが悩みの種でした。メディアを剥がした際の糊(のり)残りや貼り施工時に伸縮して剥(は)がれてしまうことが多発し、納期に間に合わなかったことがあります。その点、HP Latexインクは、糊へのアタックが無く、溶剤インクの様に施工後インク割れも起きず、インクの伸びも良好で3次曲面への追従性もあります。貼り施工を依頼している業者からも、貼りやすいという現場共通の声を聞いています。
_最初期のHP Latexプリンターは、扱いづらい部分がありましたが、HPの開発拠点があるスペイン・バルセロナから開発者数人が来日して、使用感などをヒアリングしていきました。その後に発表された機種では、色ムラの安定性など、課題点が改善されました。その時のイメージのままで、HP Latexプリンターを嫌煙をしている人がいたらもったいないですね。
リジッド対応のR2000で表現の幅拡大や業務効率化
ー今後の事業展開を教えてください
_現在の出力物は、9割が塩ビ粘着シートです。残りがPETやアクリル、アルミ複合板。アルミ複合板にIJメディアを貼る屋外看板やアクリルにシルクスクリーン印刷でプリントするアミューズメント関係に使うパネルの仕事は、堅調に増えてきているので、これをインクジェットで置き換えらえれば、表現が広がり、仕事の効率化にもつながりそうです。
_これまでに無かったホワイトインクを搭載し、ロールだけでなく板材にも直接打てる「HP Latex R2000 Plusプリンター」には興味が惹かれますね。現行の旧型HP Latex機はそろそろ買い替えのタイミングなので、4×8板や3×6板の需要を見込んで次の有力な候補機のひとつです。カーラッピングでも、最初から車体塗装でカラーリングされている上に貼ることも多いですから、白が出力できるのはメリット。隠蔽(いんぺい)性に優れたホワイトインクは、仕事の幅やデザインの可能性を広げてくれそうです。
_当社は、クライアントからの「海外の店舗では日本のVIが再現されていない」という要望に応える形で、タイに数年前から進出しています。現地の工場でも、「HP Latex 360 プリンター」を2台配備し、メディアは日本から持ち込み、企業のVI/CIに忠実な店舗サインを製作しています。
_HPの印刷オペレーティングシステム「HP PrintOS」であれば、タイのプリンターの稼働状況や受発注も、日本に居ながらにしてスマートフォンやタブレットから確認できるそうなので、ぜひ活用してみたいです。海外に展開しているチェーンストアでVIが統一されていないことは少なくありません。場所や時間を限定せずにデータを共有し、出力品質の維持管理を実現するHP PrintOSで、世界のVI戦略に貢献していければ理想的です。
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