世界大会の日本代表戦を制したのは川上裕貴氏、World Wrap Masters Japan 2019

世界規模のラッピングコンテスト「World Wrap Masters」の日本大会が、日本カーラッピング協会(JCWA)主催のもと、第21回名古屋モーターショー・ラッピングコーナーで初開催された。

11月22〜24日の3日間にわたり、総勢22名の競技者で繰り広げられた白熱のバトルを制したのは、ヤマックスの川上裕貴氏。来年3月に開催される「FESPA 2020 スペイン マドリッド World Wrap Masters 世界大会」の日本代表切符を勝ち取った。

初代チャンピオンに輝いた川上裕貴氏

優勝者インタビューで川上氏は、「大先輩たちの胸を借りて、一戦一戦、勝ち上がるために集中した結果が、このような成果につながり、嬉しく思います。FESPAでも、この調子でガンガン勝ち上がっていきたいです」と胸を張った。カーラッピングの業界に入って4年半、今大会の結果が大きな自信と、さらなる高みを目指すきっかけになったと言葉を結んだ。

主催者のJCWA苅谷会長は、「ファイナルラウンドまでの5ラウンドで敗退した21名のメンバーは、悔しい気持ちでいっぱいだと思います。ですから優勝した川上氏には、FESPAで楽しんで来いとは言いません。2位以下の彼らの気持ちを背負って、日本代表として頑張ってほしいと思います」とエールを送った。

ファイナルステージに挑む川上氏

今回の競技内容は、国外で開催されているWorld Wrap Mastersの国際ルールに準拠。車両ラッピングとクリエイティブラッピングの2本立ての構成で、審査員により減点加点方式でポイントが算出され、その合計点を競い合う。前者はフェンダーやドアノブを含む貼り施工、後者は車以外のオブジェクトに対するラッピングで、毎回当日にテーマが発表された。

審査員は4名で、特別審査員にカーラッピング業界の巨匠、米のジム・ミラー氏を迎え、デザインラボの苅谷伊氏、G.Meisterの山口孝二氏、ジェネシスの栗原史氏が務めた。

川上氏を囲む審査員ら。左から苅谷伊、ジム・ミラー、栗原史、山口孝二の4氏

カーラッピングのメディアは、最新製品となるリンテック・P204RW、HEXIS・THE190EVOを使用。IJPは、ミマキエンジニアリングのCJV300-130Plusで出力している。

初日のRound1は、参加者22名が6グループに分かれて腕を競い合った。車両ラッピングの範囲は、ドアノブを含めたフロントドア。クリエイティブの課題はヘルメットに対する貼り施工で、16名が勝ち上がった。
翌日のRound2では、車両ラッピングがフロントフェンダーとドアノブを含めたフロントドア。クリエイティブはコーラボトル型の大型貯金箱で、8名がセミファイナルに出場を決める。
そして、迎えた最終日。セミファイナルの車両ラッピングはリアフェンダーとドアノブを含むフロント・リアドア。クリエイティブはロシア大会でも使用されたバイキングの盾で、ファイナルの4名を選出した。

ファイナルステージは、90分間でピラーを含めた車両片側のサイドをフルラッピング。装飾する車体の面積に対してわずかにフィルムのサイズが小さく、ギリギリの見極めが必要となる高い技術が求められた。結果、444ポイントを獲得したヤマックス・川上裕貴氏が優勝に輝き、441ポイントの東名・竹中聖人氏、432ポイントのLE Wraps/LETTERING Express・チャーリー チュリジオ氏(米国)、398ポイントのデコラティブシステム・峯晃之氏と続いた。

ファイナルの競技者ら。左から竹中聖人、チャーリー チュリジオ、峯晃之、川上裕貴の4氏

主催者のJCWA苅谷会長は、今大会の狙いについて次のように語る。

いつも知っている仲間内、決まった会社間で貼り施工をしていると、自分の技術的な立ち位置が見えてこないんですね。それが、大勢の人が集まって競技をすると、自分が今どのレベルにいるのか、何ができて何ができないのか、視野が広がり、いろいろなものが見えてきます。

「仕事でできないことは競技ではできない」と、私は日頃から若い人たちに伝えています。競技大会だけ、付け焼刃で勝ち抜こうとしても、絶対に無理です。いつもやっている施工の仕方がそのまま出ます。だから、普段の仕事を見つめ直すのが大切。そういう視点により、効率化、生産性の見直しという面でも影響を与えられたらと考えています。わずか30分で、フロントフェンダー、ドアまで貼るなんて、一昔前では考えられない。もちろん、お客さんに納車するには、もう15分使わないといけないかもしれません。しかし、今まで4時間かかっていた仕事が、2時間で終わる可能性も秘めています。そこを日本の業界に、私としては気づいて欲しかった。限られた時間のうちに誰よりもきれいに貼る、逆を言うなれば競技中にできていることは普段の仕事でしないといけない。この好循環を生み出すことにより、日本市場の成長にも寄与していければと考えています。

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大会スポンサーは次のとおり。

  • プラチナ:ミマキエンジニアリング
  • ゴールド:テクノプロモーション、リンテック
  • シルバー:オラフォルジャパン、中村商事、マックスデカール
  • ブロンズ:デザインラボ、ライスターテクノロジーズ、ジージープラス、ニチエ、ブームクラフト
  • 協賛:ミラーデカール、ラップグローブ、ラッパーラッパー、ジェネシス

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