日本HPは7月9日、オンラインセミナー「知って得する!ものづくり補助金セミナー」を開催した。
同セミナーでは、最初に経営東京サポーター代表、中小企業診断士の内木盛人氏が「設備投資で活用! ものづくり補助金セミナー」と題して、これまで500社以上の採択実績にもとづく実践的な補助金、助成金採択のコツや仕組みを解説した。
冒頭、2020年の中小企業庁が管轄する「ものづくり補助金」について、既に補正予算として4,067億円(昨年2,634億円)が組まれ、そのうち中小企業生産性革新推進事業に3,600億円(昨年1,100億円)が投下されているとし、申請後に採択されれば受給者は最大で1,000万円、補助率も1/2~3/4の補助が受けられると説明。
対象については、資本金3億円・300人以下の中小企業から個人事業主まで含むとし、今年はコロナ禍の影響もあり、採択率も50~60%と高い。また、今回からオンラインによる電子申請が可能となったほか、4月時点で700億円の追加予算が組み込まれたことで、より制度が利用しやすくなったと強調した。
実際の申請のコツとしては、公募要領にある“経営革新”に着目、単なる設備投資による品質・納期・コストの効率性だけではなく、新しい要素として製品開発や生産方式、新サービスなどを計画に盛り込むことが肝要と説明。地場地域での優位性をはじめ、これまで取り組んでいなかった生産方式の採用などを、3~5年の事業計画に軸として組み立てるのが採択の近道になる。計画書は、基本としてA4原稿に10ページほどでまとめるのが査定者に伝わりやすく、図や画像で補足するのが望ましいとした。
採択へのスケジュールは、既に3、5月の締め切りは過ぎているので、直近の8月以降、11月、2月の申請を目指すことになる。課題として、採択通知を受け取り、これを交付申請し、補助事業期間には実績報告・中間検査・事業実施が必要。さらに、実際の設備を発注購入して支払いまで自力で先に行わなければならない。つまり、設備への投資は先に全額負担し、その約1カ月後に補助金を受給する流れとなり、ここがデメリットのひとつと話している。
一方で、今回は特別枠として、A.サプライチェーン毀損への対応、B.非対面ビジネスモデルへの転換、C.テレワーク環境の整備――の3点に対応した事業への補助率を3/4まで拡大していることを挙げ、コロナ禍に沿った対策ビジネスは高い優位性があるとした。例えば、Webからオーダーできる仕組みや、自宅からの作業指示を可能とした取り組みなども、これに含まれる。
実際の申請に必要な書類は、①事業計画書(A4で10ページ程度)、②賃金引上げ計画の表明書、③決算書、④その他加点に必要な書類――の4点。中でも、②は賃金総額1.5%以上の引き上げを表明した書類と、④は昨今その重要度が再認識されているBCP(事業継続計画)の要素がある内容を提出できれば、より実現の角度が上がるとしている。
また、審査される観点として、A.技術面、B.事業化面、C.政策面の3点に絞り、取り組み内容の革新性をはじめ、市場ニーズの有無やスケジュールの妥当性、ニッチトップとなる潜在性のほか、環境負荷への配慮性やコロナ対策の有効性などが注目されるだろうと挙げた。
最後に、設備投資に関する中小企業庁が扱う支援措置として、100%即時償却または10%税額控除が可能な「経営力向上計画」の優遇措置と、100~50%ほど固定資産税の優遇措置が3年間受けられる「先端設備等導入計画」なども紹介した。
引き続き、内木氏の補助金の開設を踏まえて、日本HPの霄洋明氏から「大判プリンタでビジネスの拡大を」のテーマで、HP Latexプリンタと昇華型のHP Stitchプリンタシリーズによる優位性が提案された。単なるPCデバイスに留まらない、プリンタのポジションを活かした同社のクラウドサービス「HP Applications Center」を中心に解説し、現在のトレンドであるコロナウイルス対策でも多様に展開しているマスクデザイン、ロールアップバナー、フロアグラフィックスの無料クラウドツールなどを紹介した。セミナーの結びには、同社の深野修一氏が、33モデルからなるDesignJetシリーズがカバーする幅広い市場性を解説し、併せて補助金制度を活用した新しいプリントビジネスの可能性を改めて示した。