8. アサイマーキングシステム 浅井 大輔社長

主にカッティング作業や出力を行う、プロダクトセンター

独自のシステム開発で 社員の働きやすさをサポート
自主性尊重で成長できる環境構築

同社は常に膨大な案件を掛け持ちし、多数の企業や協力会社との連携も密に行ってきた。そんな業務を一元管理しているのが、2016年から導入している同社オリジナルの管理システム「AMS-BOS」だ。これは、見積積算から受注に至る作業工程や在庫の管理まで、社内の日々の業務をワンストップで統括するシステム。これを独自開発して以降、多岐にわたる業務効率が格段にアップし、円滑な仕事回しを可能にした。

倉庫として豊富な資材を保管する1階

改良を含めたこれまでの開発費は、数千万円を超えているというから驚きだ。しかし、顧客満足度の向上や、社員の働きやすい職場づくりにつながるための必要経費であれば一切惜しまない、ときっぱり。案件を紙で管理していた時代は、新入社員のボールペンのインクが1カ月で5本も切れたという逸話があるほどだったと苦笑しながら、「仕事量と社員の増加に伴い、社内のペーパーレス化は必須だと長らく考えていました」と話す。

今年に入ってからは、より社員間での綿密なコミュニケーションを可能にするポータルサイトの開発にも着手。案件のグループ化や連携機能の強化など、これまでのAMS-BOSをさらに進化させた多彩なツールを搭載する。来年には本格運用を開始する運びで、開発プロジェクトも着々と進行しているという。

「AMS-BOS」によって、作業効率が劇的に改善。繁忙期でも、無駄な行き違いやコミュニケーション不足を防ぐ

さらに、社員が働きやすくなるための努力はいとわない。2018年には、人材サービス業界の大手企業と協業し、公平な人事査定、評価制度の刷新に取りかかった。例えば、社員の評価指針を明確にしたり、基準となる目標設定やプロジェクトごとの達成度を分かりやすくして、会社と従業員の双方にとって納得感のある評価制度を設定。定期的に面談も行い、スタッフ間との認識の齟齬をなるべくなくすよう働きかけている。

なぜ、ここまで社員の働きやすさを考え、コストをかけて実行できるのか。「前職で私が感じた理不尽さや息苦しさを、一切感じさせたくないからです」と、浅井氏は言う。個人を尊重し合い、皆がリーダーシップを発揮できる環境であるため、風通しの良いオフィスで在り続ける。冒頭で述べた経営理念を現実にするために、実践を続けているのだ。

作業中のスタッフ。コロナ禍の昨今は在宅勤務を導入したり、現場に交代制度を取り入れて、密を緩和している

そしてこの心意気は、社内全体に浸透している。品質・環境マネジメントの基本である5S運動(※)はもとより、それ以外にも社員が自ら進んで始めた取り組みは数多い。例えば、顧客の課題を先回りして発見、解決できる組織を目指す取り組み「オレたちはアサイさんだプロジェクト」、社員同士で褒め合い、定期的に社内表彰を行う「GATプロジェクト」、ニーズに寄り添ったヒアリングから、質の高い顧客理解と提案の徹底、そしてその営業スタッフの情熱を次代にも継承していく活動「セールス ツリープロジェクト」などが挙げられる。自主的な取り組みも積極採用し、社員がすくすくと成長できる環境をつくっている。

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