2000年の運用開始から、家電製品や日用品のほか、穀物を梱包したコンテナバッグ、航空機のトイレ、バス車内の手すり・座席などで、主に抗菌加工の目印として親しまれてきたSIAAマーク。
現在はコロナ禍により、同協議会への問い合わせが急増しているそうだ。会員数は、2020年3月時点で350社だったのに対し、同年だけで250社の新規加入が予想される。新規会員の内訳は、印刷会社が圧倒的だという。認定製品は、一般の印刷物や封筒をはじめ、マスクケースなども多い。印刷以外だと建材、壁紙、ドア、メガネ、タッチパネルといった、不特定多数に触れられるものの新規登録が目立つ。
完成品での認定が前提となるSIAAマーク。サイン領域に話を移すと、インクジェットメディアであれば、出力加工後の試験通過が必要で、例えば抗菌加工の認定ならインク受容層、またはインクそのものに抗菌剤を練り込む方法が思いつくものの、実際は抗菌剤を含むラミネートフィルムでの後加工処理などが現実的であろう。
畑は違えど、オフセット印刷であれば、ニスインクに抗菌剤を練り込み、試験を通過した例も挙がっている。これに加え、ウインドウフィルムや壁紙などの新規登録も進む現在、インドア案件でSIAA認定製品をエンドユーザーに提案できるだけでも、大きなプラスアルファとなるのではないだろうか。具体例としては、塩ビ原反メーカーが2020年2月、世界初となる抗菌・抗ウイルス加工のSIAAマークを取得したウインドウフィルム(表面保護)をリリースしている。
同協議会の平沼進専務理事は「これからの時代、店頭POPやディスプレイをはじめ、一般消費者の手が触れるサイングラフィックスなら、SIAAマークを表示するだけで、その店舗や広告のイメージアップ効果も大いに期待できる」と話す。一方で、あくまでSIAAマークはISOで定められた試験内容をクリアしているという認証に留まるそうだ。実使用下での過大な評価は禁物で、その環境ごとに応じた抗菌・抗ウイルス対策を念入りに計画していくべきだとの見解を述べる。
画像出典:抗菌製品技術協議会