このように充実した機能を多彩に搭載していると、一般的なサイネージソリューションでは、レイアウトが数パターンに限定されるなど不自由なところも生まれやすい。しかし、enviはフリーレイアウトでの自在なデザインを提供するにとどまらず、そのコンテンツを放映するディスプレイの種類にも縛りがない。縦型や横型はもちろん、あらゆる縦横比の異なるLEDディスプレイなどに対応している。
完成コンテンツをはじめ、作成時に使用した動画や画像、図版などは全てクラウド上で管理する。これらコンテンツの編集および配信は、ブラウザとアプリベースのいずれにも対応している。このため、出先でもパソコンやタブレットといった操作端末と通信環境さえ整えば、どこでも誰でもその場でコンテンツの内容が変更できるのも大きな強み。
システム構成は、実際の現場にあるLEDディスプレイや液晶モニターなどのビューアー端末に、専用STB(Set Top Box)をHDMI端末で接続。STBには、SIMスロットが搭載されており、携帯電話の回線網を通じて屋外でも常時インターネット上にあるenviのクラウドに接続される仕組みだ。
デジタルサイネージに対する知見を20年にわたって積み上げてきたセイビ堂グループ。代表取締役社長の阿部慎也氏は「サイン製作会社がデジタルサイネージを扱って収益化を図るシステムを提供したい」とenviの開発背景を語る。交通広告を筆頭に屋外媒体や案内サインなどのデジタル化が著しい現在、まだ過渡期にあるマーケットに果敢に挑戦していかないと、サイン製作会社の立ち位置はますます縮小してしまう。
業界全体がデジタルサイネージに躊躇する壁となっているのは、コンテンツ制作やそのシステムの煩雑さから守備範囲外との認識が一番に挙げられる。「その壁を取り外すようなソフトウエアを提供できれば、状況は大きく変えられる」と阿部氏は熱を込める。サイン製作会社に端を発する一企業として、業界のマーケットを守りたいと言葉を締めた。