2022年の総広告費は過去最高の7兆1,021億円に到達。屋外広告は2,824億円と前年比103.1%の成長 電通「2022年 日本の広告費」

電通は2月24日、日本の総広告費をはじめ、媒体別や業種別広告費を推定した「2022年 日本の広告費」を発表した。

2022年の総広告費は、通年で7兆1,021億円と前年比104.4%に到達。この数字は、コロナ禍前の2019年を超え、1947年に推定を開始して以降、過去最高となるものだ。

1月〜6月の上半期は、コロナ禍からの回復に伴う行動制限の緩和や、北京2022冬季五輪などにより好調。7〜12月の下半期は、ウクライナ情勢をはじめ、政策転換による欧米の経済環境の大きな変化、新型コロナウイルスの再拡大といった影響を受けたものの、社会・経済活動の緩やかな回復に伴い「外食・各種サービス」「交通・レジャー」を中心に広告に対するニーズが高まった。特に、社会のデジタル化を背景に、好調なインターネット広告費によってマーケット全体が成長したとしている。

媒体別広告費

サイン業界の領域である「プロモーションメディア広告費」は1兆6,124億円と前年比98.3%で推移。コロナ禍からの回復に伴う行動制限の緩和のほか、国・自治体による全国旅行支援施策の実施などもあり、各種イベントや従来型の広告販促キャンペーンが再開したものの、通年では減少した。

そのなかで、まず「屋外広告」は2,824億円と前年比103.1%の成長。人流回復の傾向が顕著になり、これに伴い広告費も堅調に推移した。都市部を中心に出稿は回復し、ラグジュアリーブランド、エンターテインメントなどの業種を中心に広告需要が高まったという。長期看板は、繁華街に設置された大型媒体で広告主の変更や契約延長などのニーズが向上。一方で、短期看板や短期のネットワーク看板、屋外ビジョンは、繁華街で目立つ大型の「インパクト型OOH媒体(大型サイネージや大型ボード)」に需要が集中し、増加した。3Dコンテンツ放映は、前年に引き続き話題となっている。

次に「交通広告」は1,360億円と前年比101.0%のほぼ横ばい。鉄道は、ポスター、デジタルサイネージともに、前年に続きネットワーク系媒体よりも主要駅で人流の多いロケーションに設定された、「インパクト型OOH媒体」に需要が集中。全国的に大型デジタルサイネージは前年を上回っている。空港は、入国制限により旅客数の回復が遅れ、国際線は前年より減少。国内線は、緊急事態宣言に伴う移動制限が解除されてからは、わずかに回復した。他方、タクシー広告は、サイネージ広告を展開できるタクシー会社の新規加入もあり、前年に引き続き増加したとしている。

そして、「イベント・展示・映像ほか」は2,988億円と前年比92.5%の減少。イベントは、前年の東京2020五輪の反動で1,233億円と前年比89.9%の減少となった。展示は、各種展示会の開催や百貨店、複合型商業施設、企業PR施設、テーマパークといった、エンターテインメント施設の新装・改装、催事などにより広告需要は高まったものの、全体としては減少した。映像は、オンライン展示会やウェブ講演会・セミナーなどに付随する配信動画、商品サービス紹介といった制作ニーズは前年に引き続き向上。シネアドは、映画館が営業を再開し、話題作も数多く公開されたため、ラグジュアリーブランドの広告需要が高まったとしている。

なお、広告市場を牽引する「インターネット広告費」は、3兆912億円と前年比114.3%の増加で、2兆円を超えた2019年からわずか3年で約1兆円もマーケット規模を拡大。インストリーム広告を中心とした動画広告需要は高まり続け、デジタルプロモーションの拡大も市場の成長に寄与した。好調なインターネット広告の伸長により、2022年の総広告費は増加した。

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