三菱電機は9月10日、工事現場などの指示を多言語で同時表示できる翻訳アプリ「翻訳サイネージ」のプロトタイプを開発したと発表した。国内の生産現場において雇用が拡大している外国人従業員との円滑なコミュニケーションを促進させるため、工場での朝礼など大人数が参加する場においての活用を模索していく。
同製品は、日本語で作成した文章を読み込ませると、自動で多言語に翻訳され、画面上に一斉表示されるのが最大の特徴。英語、ポルトガル語、タガログ語、ベトナム語など17言語へ対応し、国籍を選ばずに言語が異なる多様な従業員に対して情報を伝達できる。
さらに、外国語に翻訳した原稿を日本語に再翻訳する「折り返し翻訳」機能により、誤翻訳を削減。また、専門用語を登録できる「翻訳辞書・音声認識辞書」や、スマホでの遠隔操作で表示の切り替えを行えたりなど、ユーザビリティを向上させる多彩な機能を搭載している。
既に同社では、外国人従業員が複数在籍する群馬工場においてアプリの実証実験を実施。外国人従業員を対象にしたアンケートでは、91%が「朝礼が分かりやすくなった」と回答したそうだ。ほかの日本人従業員からは「さまざまな母国語の従業員に対して、同時に伝達可能となり作業効率も良くなった」「職場の雰囲気が明るくなった」など、好意的なコメントも数多く寄せられた。
今後は、社内の現場に向けて導入を推進し、朝礼など大人数への伝達シーンでの利用促進を図っていく予定。それらで得られた知見をフィードバックし、2025年度以降の商品化・事業化を目指していくという。
併せて、朝礼向けのみならず作業の指導や個別相談などに対応する新たな生産現場向けソリューションの開発にも注力。外国人従業員との言語の壁をなくし、安全・品質の担保と円滑なコミュニケーションの実現に貢献していく構えだ。