凸版印刷と、AIによるバーチャルヒューマンサービスを提供する3digは4月4日、これらAI技術や高解像実測データを活用した、実証実験を開始すると発表した。
3digは、等身大のリアルなバーチャルヒューマンと対話できるサイネージシステム「VHサイネージ」を開発。これを生かし、リアリティを追求したバーチャルヒューマンとの対話が人に及ぼす影響、人の抱く感情や最適なユーザー体験など、さまざまな検証を実施していく予定だ。実験は、凸版印刷が保有する神田和泉町ビルの受付エリアで行っていく。
実証実験は、事前に内容を説明し、同意した来訪者または同社従業員を対象に実施。バーチャルヒューマンが実際に来訪受け付けや案内を行い、アンケートによって定量および定性分析を行っていく。対応する想定訪問者数は、1日10人を予定するそうだ。
「VHサイネージ」は、86インチの大型サイネージから投影されるリアルな外見に加え、合成音声による対話が可能。目の前の人が質問したり、特定の操作をすると、双方向型の反応を返す、インタラクション機能も搭載しているという。ユーザーは実際の人間と対話するように、受付や物品購入など、多彩なサービスを受けられるのが特徴だ。視線追従や呼びかけなどといった機能によって、まるで本物の人間かのような、自然なコミュニケーションも可能となる。
さらに、自動生成システム「anma」を活用すれば、実在人物の計測データを基にしたオリジナルのバーチャルヒューマンも制作可能。これまでは大きな手間がかかっていた制作コストを大幅に改善する。
今後は同実験の結果を照らし合わせ、バーチャルヒューマンおよび、対話型のVHサイネージの制作に生かしていく予定。併せて、高精細なAIによる各種サービスソリューションを商業施設や地方自治体に向けて積極的に提供していく。2025年度までに、10億円の売上を目指していくそうだ。
本実証実験の概要は、以下の通り。
実施期間/2023年4月13日~4月27日
実施場所/凸版印刷 神田和泉町ビル1階受付
実証の目的/実在する人物を対象とするVHサイネージにおけるインタラクションの有用性検証
対象/来訪者、凸版印刷のZ世代と呼ばれる新入社員と60歳以上の従業員。ただし、実証について事前に説明し、同意したものに限る。
検証方法/実証協力者に対し、簡易アンケートを実施。定量および定性分析を行い、今後の機能拡充、商材化時の品質とコストに活用。