凸版印刷は、フルカラー電子ペーパーを使用したデジタルPOPを世界で初めて開発。試作モデルの実証実験を、2月20日から、三越伊勢丹の新宿店本館で開催されるイベント、「花々祭」内で実施する。
電子ペーパーの媒体となるパネルは、台湾・E Ink Holdings社の製品を使用。32,000色のフルカラー表示が可能となる、Advanced Color ePaper (ACeP)だ。デジタルPOPを提供することで、主に店舗装飾向けで課題になっていた、POP制作の効率化と廃棄物削減を目指すという。
従来のアナログ仕様の店内装飾向けPOPは、出力物の裁断、パネル貼り、什器への取り付け、設置といった作業が必要とされるばかりか、イベントの終了と共に廃棄されており、非効率性が懸念されていた。
凸版印刷が今回開発した、フルカラーデジタルPOPは、PCやスマートフォンから簡単に表示の切り替えができ、作業の大幅な効率化を実現。継続的に使用できるため、廃棄物を削減し、環境負荷を大きく低減させる。
このほか、表示の際に電力を必要とせず、電源コンセントの確保や電源コードの取り回しが不要。そのため、転倒リスクが低減し、移動を容易とするなど、高い利便性を持つ。
同社が提供していた以前の電子ペーパーは、反射率が低く、4,096色と表示色数が少なかった。しかし、ACePでは、シアン、マゼンタ、イエロー、ホワイトの4色の帯電顔料を採用し、1.5倍以上の反射率と数倍以上の色再現域とすることで、32,000色の表示を可能に。より訴求力のある店内装飾向けPOPの展開ができるようになった。
効果検証の実証実験を実施する伊勢丹新宿店本館では、毎年各店舗が春にちなんだ製品や催しを提供する恒例のイベント「花々祭」を開催している。店頭に設置し、見映え、使い勝手、安全性などの確認、および作業の効率化・廃棄物削減などの効果検証する予定だ。
期間は、2月20日から3月26日まで。正面玄関である本館1階に設置される。
今後、凸版印刷とE Ink Holdings社は、引き続きフルカラー電子ペーパーによるデジタルPOPの商品化・市場開発を協働して推進。さらなる作業効率化・廃棄物削減を目指し、小売、製造・物流、防災、交通など幅広い分野で、用途拡大に向けた取り組みを行っていく。