リード エグジビション ジャパンをはじめとする572社は6月9日、東京五輪の開催延期に伴う東京ビッグサイトの使用制限問題について、仮設展示場の建設を求める嘆願書を、小池百合子都知事宛てに提出した。
これは、東京五輪の延期によって、今年に引き続き来年も東京ビッグサイトをIOCに貸し出すという政府の決定に対して、損害を受けるイベント・展示会の出展企業、支援企業、主催者などから問題提議がなされたもの。その代替となる新たな仮設展示場の建設を求める内容で、2,800人の賛同署名も合わせて提出された。主導となり、「2020東京五輪延期に伴う 仮設展示場の建設 嘆願活動 事務局」を立ち上げたのは、数多くの展示会を主催している、リード エグジビション ジャパン。
そもそも、東京五輪によって東京ビッグサイトの約半分(7万㎡)が使えなくなると言われていたのは、本来の開催年である2020年11月までだ。それでさえも、多くの展示会が中止・縮小となり、出展社、支援企業、主催者は約2兆5千億円の損害を被ってきたという。
しかし、新型コロナウイルスの蔓延により今年早々に来年への延期が決定。東京都は4月、それに伴い、引き続き2021年も同様に同施設の使用を制限する計画を発表した。実現すると、予測段階でもさらに1兆5千億円の損害を被ってしまうのだそうだ。「当社は東京ビッグサイトで毎年3つの展示会に出展し、8,000万円の売り上げを見込んでいる。零細企業で宣伝や全国営業ができないので、使用制限のさらなる延期は倒産の危機だ」「装飾施工の専門会社のため、今年だけでも仕事は激減している。あと1年続くのであれば、廃業も視野に入るだろう」など、多くの企業から心配の声が寄せられた。
リード エグジビション ジャパンをはじめ、このように窮状を訴える企業572社の社長が発起人となり、これまでと将来的に予測される損額や代替会場を求める理由、設立に関する具体案などをまとめた嘆願書を作成。するとその後1週間で、約2,800人から賛同署名が寄せられたという。
「使用制限で損失を被る約5万社を救うために、ぜひ仮設会場建設を」と強く訴えたと話すのは、実際に嘆願書を提出した田中社長と石積副代表および出展社・支援企業代表。受け取った東京都産業労働局の土村部長は「皆さんの窮状は理解した。できる限りの努力をしたい」と応じたそうだ。
田中社長は、「現在、日本経済はコロナ禍によって大きな打撃を受けている。その窮地を抜け出すためには、多くの企業のビジネスの場となる、展示会の開催が不可欠だ。このためにも、仮設展示場の建設は急務。今年後半から来年にかけて予定通りの展示会が開催できるように、力を尽くしたい」と熱意を込める。
提出後も、署名に賛同する声はとどまらず、1万人を超える見込み。今後もWebを通じて、署名を続ける方針だという。