帝国データバンクは16日、2020年に倒産した広告関連業者の件数が、9月末までに108件に達し、その負債総額は67億100万円に上ると発表した。
広告関連業者の倒産は、リーマン・ショックの翌2009年の258 件をピークに減少が続き、14年には200件を下回った。その後も倒産件数は減り、16年には114件と低水準を記録したが、17年以降は増加に転じ、19年まで3年連続で前年を上回っている。20年は10月以降の状況によるものの、前年を上回り4年連続で増加する可能性がある。
倒産を業種別にみると、「広告代理業」が57件(構成比52.8%)で最多。次いで、「広告制作業」が31件(同28.7%)、「ディスプレイ業」が12件(同11.1%)と続く。 20年は春以降、広告業界全体で新型コロナウイルスの感染拡大による需要減退が顕著で、19年を上回るペースで「広告代理業」の倒産が発生している。
負債規模別にみると、「1,000万〜5,000万円未満」が74件(同68.5%)で最多。これに続き、「5,000万〜1億円未満」が17件(同15.7%)、「1億〜5億円未満」が16件(同14.8%)と推移している。「1,000万円〜5,000万円未満」は、09年時点では全体の半数程度だったが、近年は7割前後までに上昇。これに対して、負債10億円を超える倒産は20年には発生がなく、50億円以上に至っては11年から9年連続で0件となっている。顕著に、体力に乏しい小規模事業者を中心に倒産が生じている。
新型コロナウイルスの影響は、広告業界にも暗い影を落としており、同社の景気動向調査でも、飲食店、アパレル関連業者、旅館・ホテルなどに次いで、景況感は悪化。今度の倒産件数の増加が懸念されるとしている。
しかし、この一方で今回のコロナ禍では、固定費率が高い業種ほど、倒産が増加しやすい傾向にあり、広告業界は比較的とはいえ固定費率が低いため、倒産が急増に至っていない要因に挙げられる。また、広告業界は景気変動の影響を遅れて受けることが多いため、年末にかけて倒産が増加する可能性を抱えており、小規模事業者を中心に倒産動向への注視が必要だとしている。