日本アドバタイザーズ協会(JAA)は1月13日、「第59回JAA広告賞 消費者が選んだ広告コンクール」の入賞作品を発表した。
JAA広告賞とは、審査員に広告関係者を含まず、本来の広告の受け手である消費者が生活者の視点で選ぶ総合広告賞。今年度は2019年10月1日から2021年9月30日までに放映・掲出・掲載された広告を対象に、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、デジタル、屋外・交通の6部門にわたって計1,530点が応募された。「好感、共感、親近感がもてる(感性)」「わかりやすく、納得できる(理性)」「オリジナリティが感じられる(創造性)」を審査基準に、119人の一般消費者審査員が選考を行った。
最高賞であるJAAグランプリは、森永乳業、味の素、九州旅客鉄道、西日本シティ銀行、LINE Fukuoka、パナソニック、日本芸能実演家団体協議会、クロススペースの各社が受賞。このほか、経済産業大臣賞に受賞したサントリーホールディングスなど、全65作品が入賞を果たした。
受賞した各社の作品と審査員コメントは以下の通り。
【JAA賞グランプリ】
(審査員コメント)
新聞が立体になるなんてすごい!コロナ禍で外出もままならないご時世に、動物から会いにきてくれるアイデアがとても良い。飛び出す動物たちに癒やされるし、子供も楽しめる広告だと思う。
(審査員コメント)
コロナ禍で家族の食事作りに追われるなか、手間をかけない、それでもいいんだと気が楽になった。手抜きをほめる逆説性が面白い。手軽にできるのにどれもおいしそうなのもポイント。
(審査員コメント)
人々の願いが乗った素敵な取り組み。不安の多いなかでも夢や希望を持ち続けるという、勇気あるメッセージが伝わってきた。新幹線が九州の人たちを物理的につなげていると分かった。
(審査員コメント)
子供のメッセージは心に残る。日本のほとんどの企業が抱えている形骸化した定時退社の取り組みとして、とても良いアイデアだと思う。自分の職場でも導入してほしい。
(審査員コメント)
生でライブを観る楽しみが減ってしまい、広告を見て心から応援したいと思った。たくさんの人にシェアしたくなったし、また楽しみたいと思わせてくれた。こんな時だからこそのライブ・音楽・舞台芸術の力を感じた。
(審査員コメント)
話題性・トレンド感があり、今後日本のランドマークとなるか楽しみ。コロナ禍の不安な時だからこそ、ユーモアと驚きが大切。通ったら絶対に目が留まる。今年最高の屋外広告だと思う。
【経済産業大臣賞】
(審査員コメント)
感染対策のアドバイスを、ユーモアを交じえながらもきちんと伝えている。先の見えない不安な日々でも、苦境に立ち向かう気力と勇気を与えてくれた。時代に即したメッセージ性の高いCMだった。
審査委員長の芳賀康浩氏は、「ほとんどの応募作品が多かれ少なかれコロナ禍を意識したものであるにもかかわらず、決して暗くもなければ厳しくもないものでした。100年に1度と言われるパンデミックのなか、私たちはすでに2年近くも我慢を強いられる日々を過ごしています。良く頑張ったと褒めてほしい、ままならなくても良いとほっと息をつかせてほしい、そんな気持ちに寄り添うように、微笑みかけてくれる、笑い飛ばしてくれる、そっと手を添えてくれるような“明るく温かい”作品が多かったように思います。こうした広告に元気や希望をもらった人は少なくないのではないでしょうか。広告には、確かな力があると期待せずにはいられなくなるコンクールでした」と講評した。