東京都は4月26日、首都圏1都3県の知事や政令指定都市の市長が参加する「九都県市首脳会議」で、広告宣伝車の規制に関する提案を発表。トラックの荷台などに大型広告を載せてまちなかを走る宣伝車のデザインについて、広域で規制する方向で検討に入ったという。現在は東京都単独で規制している条例の対象を、1都3県ナンバーの全車両にまで広げる方向で話を進めている。
都では日頃から、派手な色使いや過度な発光を伴って低速で周回走行するマナーの悪い広告宣伝車の危険性を懸念。都市の良好な景観を損なうだけでなく、周囲の運転手の集中力を低下させて交通事故を引き起こす恐れもあるとして、事前に都へのデザイン面の許可申請、および(公社)東京屋外広告協会の審査を義務化していた。これにより、事故減少など一定の成果もあげていたという。
しかし、その「東京都屋外広告物条例」の適用を受けられるのは、都内ナンバーの広告宣伝車に限る話だ。一般的な屋外広告物は屋外広告物法に基づく各自治体の条例により規制されるものの、車体広告は自動車の走行地ではなく登録地の条例を適用するため、都県境を越えて往来しているマナーの悪い車がはびこっていた。2月に都が新宿と渋谷を走る広告宣伝車を調べたところ、74%は東京周辺の3県ナンバーで、残りは他地域のナンバーだったと分かった。
都民からも、「良好な景観形成や交通環境への悪影響を心配している」「ただでさえ交通量の多い道なのに、車体の大きな広告宣伝車によって、余計に渋滞を悪化させてしまっている」など、さまざまな声が寄せられているという。小池百合子知事は、「それを防ぐためには、一部の自治体のみならず、九都県市で一致団結して対策を講じる必要がある」と、今回の提案に至った経緯についてコメントした。
さらに小池氏は、「宣伝車の走行は繁華街を抱える大都市の共通の課題だ」と強調。規制のあり方を協議する検討会の設置を提案した。今後は規制の課題などを整理し、九都県市内における広告宣伝車の実態を共有したり、具体的な規制のあり方を検討したりして、制度の詳細を詰めていく構えだ。