昇りは「ポジティブ」、降りは「親しみ」。階段の行き帰りでは、興味を得やすい広告が変わる? 産学連携の研究成果を発表 メトロアドエージェンシー

メトロアドエージェンシーは1月22日、東京国際大学、太陽工業との産学共同によって行われた調査「交通広告の価値」の研究成果を発表した。第1弾として、「駅の階段広告」の効果について分析。東京メトロ東西線・早稲田駅で調査したところ、上りは「ブランドイメージ」を高める広告、下りは「帰属意識」を高める広告の効果が高いと分かったそうだ。

同調査が初めて行われたのは、2022年11月。主に「マーケティングと消費者行動」の研究活動をしている東京国際大学商学部の平木ゼミが、地下鉄駅階段を上下する際に目にする広告に着目したのをきっかけに、学生28人に向けてのアンケートを実施したのを始まりとしている。

その後、2023年4月に学生50人、同5月に学生119人に対して、学内の異なる階段を利用しての同様のアンケートを実施。3回の調査を通して、階段を昇るとポジティブな概念を活性化させる傾向にあると分かり、ブランドイメージを高める広告が効果的であると結果を示した。

さらに、階段を降りた時の感情についても分析。すると、「近い」「落ち着き」といった感覚を生む傾向にあると分かった。よって、親しみや安心感を伝えるような、帰属意識を高める広告が効果的だと分かったという。

また、これらの検証結果について、テントなどの大型膜面構造物を手がける企業・太陽工業が興味を示し、より本格的な調査を開始。グローバルな実績写真を活用した「ブランドイメージ向上」を目的とした広告と、仕事風景や社員の写真を活用した「帰属意識や親しみ」を促す2種類のクリエイティブ広告を製作し、同研究部へ提供した。

産学共同研究により実現したこれらの広告は、2023年11月、メトロアドエージェンシーの協力を得て、東京メトロ東西線・早稲田駅の階段踊り場に掲出。平木ゼミでは、地下鉄の階段利用者108人を対象にアンケート調査を実施し、広告の効果を確認した。

ブランドイメージを重視した広告(左)と、帰属意識を促す広告(右)の2種類を用意した太陽工業。早稲田駅構内に実際に掲出され、効果検証が行われた

すると、前述した予備調査と結果は一致。階段を昇ってきた人は前者の広告を高く評価し、階段を降りてきた人は後者の広告に興味を示す傾向が見られた。

地下鉄は、特に長い階段移動が伴う公共施設と言える場所だ。そのためスマホの利用率も低く、動線上の広告視認率も高いという傾向がある。これらの研究結果を生かし、キャッチコピーやイラスト、写真などに一工夫が加えられれば、より高い接触効果を期待できるのではないだろうか。

メトロアドエージェンシー、東京国際大学、太陽工業は、今後も継続的な産学共同研究を計画。第2弾は車両メディアを対象に、2024年1~2月に検証が行われる予定となっている。

研究概要の詳細は、以下の通り。
・研究主体/東京国際大学 商学部 平木ゼミ27人(3年生14人、4年生13人)
・協力/太陽工業、メトロアドエージェンシー
・研究期間/2022年9月から継続中
・主な階段広告メニュー/
駅ばりポスター、臨時集中貼り/臨時柱巻き広告、駅看板、六本木ツインウォール、半蔵門線永田町エスカパネル、外苑前バナー広告など

>>>研究のさらなる詳細はこちらから

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