無電柱化に伴い設置が進む「路上変圧器」への広告掲載解禁に向け、官民連携でデジタルサイネージを設置・稼働する実証実験が3月28日、埼玉・さいたま市のJR大宮駅周辺でスタートした。
この実証実験は、国土交通省が道路の占用許可基準の一部緩和と、路上変圧器への広告掲載の解禁を視野に、地域ニーズや広告費を取り入れ、官民連携で運営可能なデジタルサイネージの実用化を検証する。防災・安全・景観などの理由から推進されている無電柱化によって設置が進む、路上変圧器を防災・観光情報発信に有効活用し、2020年に向けて一層の増加が予想される訪日外国人や来街者に対する地域アピールに役立てることを目的とする。
路上変圧器へのデジタルサイネージなど占有の取り扱いは、 道路法施行令第7条第1号の「看板」とし、実施者が占用許可申請を行う。その上で、「指定区間内の一般国道における路上広告物等の占用許可基準について」(昭和44年8月20日付け建設省道政発第52号)の一部を適用除外とし、占用を認可するという。
2018年12月の公募により、実証実験地域の第1号にはさいたま市を選定。同市と、パナソニックとパナソニックシステムソリューションズ ジャパン(以下、パナソニック)、東京電力パワーグリッドと東電タウンプランニング(以下、東電PG)が共同で実証実験を実施する。
具体的には、JR大宮駅東口・西口の歩道にある路上変圧器の上部に、パナソニックと東電PGが共同で開発する「ストリートサイネージ(R)」を設置し、避難訓練や観光誘致、市政広報に放映する。避難訓練では、自治体からの緊急情報を配信するほか、2次元コードを使ってスマートフォンなどへ誘導し、その個人が必要な情報を取得できるようにする。観光誘致は、魅力ある地域資源や食・観光ルートなどを紹介し、街中での回遊・周遊を促す。市政広報は、イベント情報などを配信することにより、情報への接点を増やし、関心を高めるとしている。
さらに、人流センサを活用し、性別や年代の属性を含む視聴人数などのデータ収集分析も行い、公共情報配信サービスの有用性、街への回遊性効果を検証した上で、広告掲出と景観への配慮事項を検討するとしている。