「生活者を支え、応援しよう」広告に携わる関係者から一丸に… メッセージ発信 、JAA

広告主企業を主な会員とする日本アドバタイザーズ協会(JAA)は4月20日、「新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、広告に携わる広告主、広告会社、制作会社、メディア関係者が一丸となって生活者を支え、応援しよう」というメッセージを発信した。

併せて、広告やメディアのデジタルシフトが進む昨今の市場環境を踏まえ、新たにデジタル広告取引に関する監査や認証を行う組織の設立準備の開始やダイバーシティ(多様性)を切り口にした広告表現、働き方についての在り方について取り組む――などを盛り込んだ「2020年度の事業計画」を発表した。

伊藤理事長はメッセージとして、残念ながら4月現在、新型コロナウイルスの感染拡大は継続中で、広告主、広告会社、メディア、制作会社などの業種、そして全ての世代、あらゆる地域に感染者が出ている。感染拡大を防ぐために「人と接触しないこと」が求められ、「リスクを避ける」段階から「自分の命、家族の命を守る」のが一番の優先される事態となっているとし、次のように所感を述べた。

「新型コロナウイルスのパンデミックによる経済危機は、過去1世紀で最悪のものになると言われている。外出を控え、自宅で業務を行なったり、待機する生活者が増え、電波やインターネットでアクセスできるメディアの重要度は高まり、その価値は向上している。新型コロナウイルスによる生活者の不安やストレスに対し、いまこそ、広告の『チカラ』を通じて、我々が今の困難を乗り越える道筋を示すメッセージを、そして未来へのチャレンジを鼓舞する有益なメッセージを届けることが重要と考える」

「2020年度事業計画」は、重点活動目標として①消費者が最適な広告体験を享受できるような環境づくりを目指す、②グローバルに求められる社会課題についての啓発・研究を行う、③JAA・Web研の組織について、環境変化に対応すべく現状の委員会の在り方を見直し、社会に対してどのような貢献をしていくのか専門チームを作り、検討する――の3点を掲げ、なかでもデジタルメディア領域での組織設立によるアドベリフィケーション対応の強化をはじめ、メディアごとの共通効果指標の研究や広告表現におけるダイバーシティ対応の事例研究などの活動を標榜した。

事業ごとの主な活動計画は、1:人材育成事業として「『超』基礎講座」や「実践広告塾」をはじめとする総合的な知識を得る口座の実施、2:調査研究事業では「重点広告課題アンケート調査」、「JAAミーティング」といった広告主の最新動向を把握する調査・研究、3:表彰事業は「消費者が選んだ広告コンクール」について延期された昨年度表彰式および本年度の募集、審査会の実施や広告論文に代わる新しい「JAAチャレンジ・アワード」の実施、4:啓発普及事業では、J-MONITORやM-VALUEなどの効果測定データの活用事例に関するセミナーの実施について、それぞれ発表した。

なお、2月27日に執り行われた第63回定時総会/臨時理事会で協会執行体制を決定。以下の人事と各委員会の取り組み活動概要を発表した(敬称略)。

【執行役員】
▽理事長/伊藤雅俊(味の素 取締役会長)▽常任理事/水谷徹(サントリーホールディングス 常務執行役員、サントリーコミュニケーションズ 代表取締役社長 宣伝・デザイン本部長)/片上崇(味の素 理事 広告部長兼オリンピック・パラリンピック推進室長)/丸山哲朗(パナソニック ブランドコミュニケーション本部宣伝部部長)/幼方聡子(東レ 宣伝室長)/大畑俊樹(第一三共ヘルスケア 営業統括部第一営業部長)▽専務理事/鈴木信二(JAA)▽常務理事/小出誠(同)▽監事/生野徹(東京ガスコミュニケーションズ 取締役プロモーション事業部長・メディア部長)/早川徹(三越伊勢丹ホールディングス 参与)▽相談役/佐治信忠(サントリーホールディングス 代表取締役会長)▽顧問/久保田和昌(カルチュア・コンビニエンス・クラブ 社長室 上席執行役員CMO)/土橋代幸(デルフィス 専務取締役)※社名、部署、役職は2月27日時点のもの

【各委員会の取り組み活動概要】
デジタルメディア委員会/山口有希子委員長(パナソニック コネクティッドソリューションズ社)
① 取引の適正化・透明化 アドベリフィケーションに対応するデジタル広告取引に関する監査や認証を実施する組織・機関の設立準備
② 効果の可視化 「流通企業との取り組みにおけるTV とデジタルの商談用共通指標」の普及推進

電波委員会/小出 誠委員長(資生堂ジャパン)
① データ整備 「効果の可視化」と「取引の多様化」への対応
② 考査 CM 素材考査のあり方を協議
③ 字幕付きCM 普及推進協議会幹事団体として普及促進活動
・字幕付きCM が対応可能な放送枠を増やすための動きをロードマップ化
・会員社への啓発や制作に関する知見の共有
④ 有事対応 有事におけるCM 取り扱いのレギュレーション整備

ダイバーシティ委員会/幼方 聡子委員長(東レ)
① 広告表現におけるダイバーシティ対応の啓発 アンコンシャスバイアスの啓発セミナー開催
② ダイバーシティに関する広告表現の適正化 事例研究とチェックリストやガイドラインなどの策定/UN WOMEN(国連女性機関)によるUnstereotype Alliance(ジェンダー視点での固定概念を撤廃するための基盤)への参画

消費者委員会/大畑 俊樹委員長(第一三共ヘルスケア)
第59回JAA広告賞 消費者が選んだ広告コンクールの実施

新聞委員会/片上 崇委員長(味の素)
① 新聞広告に関する活用事例研究 日本新聞協会や日本広告業協会と共催でデジタル化への対応や活用事例をテーマにセミナー開催
② 新聞広告効果測定データ「J-MONITOR」の情報共有と活用促進 データに関する意見交換会や活用事例セミナーの開催

雑誌委員会/佐藤 圭委員長(日本たばこ産業)
① 雑誌広告に関する活用事例研究 日本雑誌協会や日本雑誌広告協会との共催でデジタル化への対応や活用事例をテーマにセミナー開催
② 雑誌広告効果測定データ「M-VALUE」の情報共有と活用促進 データに関する意見交換会や活用事例セミナーの開催

SP委員会/水谷 徹委員長(サントリーホールディングス サントリーコミュニケーションズ)
① 屋外交通広告の活用事例研究 デジタル化への対応や活用事例をテーマにセミナー開催
② 交通広告共通指標データの充実 交通広告データの一元化と交通広告効果の業界標準としての共通指標整備を推進

クリエーティブ委員会/名久井 貴詞委員長(味の素)
① 制作実務の人材育成 クリエーティブ塾、クリエーティブセミナーの開催

国際委員会/植田 久美委員長(日本アイ・ビー・エム)
海外動向の最新情報の収集と発信 WFA(世界広告主連盟)等の海外情報の共有や海外の広告に関する最新情報をテーマにしたセミナーの開催

広告取引委員会/小和田 みどり委員長(ライオン)
① 広告取引に関する法令順守の啓発 各種広告関連法規に関するセミナーの開催
② 予算配分の最適化や効果検証に関する研究 コミュニケーション全体の予算配分の最適化や効果測定に対する考え方や事例の研究

セミナー委員会/霜田朝之委員長(オリエンタルランド)
人材育成セミナーの充実 「超」基礎講座、実践広告塾、関⻄セミナー、JAAミーティング等の開催

チャレンジアワード委員会/澤村 環委員長(アフラック生命保険)
第1回JAA チャレンジアワードの実施 広告主のマーケティング課題や社会課題の解決につながる新しいチャレンジを募集・表彰

働き方改善プロジェクト/名久井 貴詞リーダー(味の素)
① 制作実務に関する意見交換 JAC(日本アド・コンテンツ制作協会)の制作見積ハンドブックに関する意見交換実施
② デジタル領域の働き方改善に向けた取組 JIAA(日本インタラクティブ広告協会)や制作プロダクションの団体ICE(Interactive Communication Experts)との意見交換実施

協会活動体制強化プロジェクト/丸山 哲朗リーダー(パナソニック)
環境変化により柔軟に対応できるよう協会体制の強化案の検討

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