【レポート】木曾福島地区に江戸情緒を取り戻したい。木彫看板で紡ぐ地元デザイナーの心意気

続いて、第2弾として2019年に地元産木材を使用した木彫看板で江戸時代に栄えた宿場町の趣を取り戻すための活動がスタートした。

看板のデザインから、製作、設置に至るまで駆け抜けてきたと遡及する山下さん。ひとりでプロジェクトを遂行するなかで時折手を貸してくれたデザイナーの友人には感謝してもしきれないと目尻を下げる。

手伝ってくれた友人たち

同プロジェクトは、地元を活気づけようとまちの観光商工課や地元商工会に働きかけて実現したと胸を張る。巨大壁画職人として全国を飛び回り、常日頃から巨大壁画や空間丸ごとのデザインを手がけるのが得意な彼にとって、看板製作へのチャレンジは新しい発見とひらめきの連続だったと語る。

膨大な資料を元にデザインを考案

今回の木彫看板プロジェクトでは、前回のシャッターアートを大きく上回る100店舗が対象となった。

各店主と打ち合わせを重ねて完成したデザインは「ちゃんこ屋にはちゃんこ鍋」「建設会社には大工道具」など業種にちなんだイラストをあしらい各店舗の個性がひと目で分かるようになっている

ヒノキやケヤキなどの地元産木材に自ら下絵を施しNCルーターで切り出したあと、手彫りで仕上げていくこだわりよう。木目が生きるようにと文字以外の着色には防腐効果のある5色のオイルステインを使い分けて表現したという。

基本の5色を独自にブレンドし細微な色合いを表現

ひとつひとつに真剣なまなざしで向き合い作り上げる

「はじめは規格を決めて看板製作にあたりましたが、より景観に合うように工夫した結果、店舗ごとに異なるデザイン・形状になっていきました。看板を設置していくうち、使用するアイアン素材にもこだわりたくなってしまい作るものが増えて大変でした」と朗らかに笑う山下さん。

鉄と木の調和を大切に、細かな部分も手仕事によるデザインでこだわり抜いている。雨よけを付けた看板があったりとバリエーションも豊かだ

絵本から飛び出したようなかわいらしいデザインにはノスタルジックさも感じられる

筆文字も直筆でデザインし、ゴールド部分は箔貼りで仕上げて高級感を演出している

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