リコーと共同開発した「プリンテリアクリア搭載ラミネート機」など新製品群をPR、LSSが2年ぶりのサテライト会

リンテックとリンテックサインシステム(LSS)は2021年11月5日、IJP関連の販売店や出力企業などのサテライト会社を対象に、新資機材やサービスの情報交流会「第28回D.I.S.サテライト会」をリンテックサインシステムの中野ショールームで開催した。

冒頭、リンテック 産業工材事業部門 建装工材営業部部長 齋藤浩樹氏は「2021年4月の組織再編に伴い、当社内でカテゴリーごとに分けていた事業部を建装工材営業部に統合し、“オールリンテック”で営業展開していくこととなった。同部内には、建装材専門と自動車関係を扱うモビリティ専門の2グループを新設。とくに建装材グループでは、リンテックサインシステムとの連携を強化することで、サイン・ディスプレイ分野のユーザーの声をメーカーである当社まで吸い上げて、新製品の開発に反映させていきたい」と挨拶し、新体制で注力していく旨を表明した。

最初のセッションでは、リコーとリンテックサインシステムが共同開発を進めているIJPタイプのARラテックスインク(プリンテリアクリア)搭載ラミネート機「RICOH Pro L51シリーズ プリンテリアクリア機(仮)」を紹介。同機種は2022年2月の本格販売に先立ち、2021年11月中旬からリンテックサインシステムで先行して取り扱いを開始している。

新機種は、RICOH Pro L51シリーズ(5130e/5160e)の4色機をベースに、8スロット全てのインクをプリンテリアクリアに転換した1色機。生産性の高さと後加工性のしやすさはそのままに、リキッドラミネーター(液ラミ機)に代わるクリアインクラミネート機という位置付けとなる。

現行の液ラミ機「LAGLA Liquid 1400」は、毎時12mほどの送り量に加え、乾燥時間が約半日必要だが、対してプリンテリアクリア機の加工スピードは倍近い毎時21.2mで乾燥待ち時間も生じない。そのために、人的・時間的コストを含めたランニングコストで大幅な削減が見込める。

中野ショールームでは2019年中ごろに、Pro L41でプリンテリアOWとプリンテリアSO2に出力後、テスト施工を行ったところ、職人からは「施工性に問題はなく、伸び縮み面でも液ラミと同等。クリアインクラミのため、水糊(のり)がきれいに拭き取れ不具合も起きにくい。仮に残っても、黄変は起きにくいのではないか」との感想が寄せられたという。 プリンテリアクリア機の価格は5130eモデルで約330万円、幅広の5160eで約360万円(保守・搬入料金含めた税別)を予定している。

「RICOH Pro L51シリーズ プリンテリアクリア機(仮)」のベースとなる中野ショールームに展示されている「RICOH Pro L51シリーズ(5130e/5160e)」

デジタルプリント壁紙「プリンテリア」専用に提供する新デザインコンテンツの説明では、新たに福島県会津若松市出身の画家/版画家・はせがわいさお氏、だまし絵で知られるオランダの画家・M.C.Escher(M.C.エッシャー)氏の作品を追加。

はせがわ氏の作品では、沖縄世界遺産9部作や東北の被災地への願いを込めた原風景などをリンテックが運営するデザイン素材集のWebサイト「Visualmarking.com」経由で利用することが可能で、一方Escher氏のコンテンツは財団との契約締結により、壁紙やウィンドウ装飾の用途で絵画26点+パターン7点を2022年から提供する。

3番目のセッションでは、ブロックチェーンを活用した物件管理システムの提案物件管理を提案した。

物件管理システムは、リンテックサインシステムでIJP出力企業を事前登録して、2次元コードを発行し、ユーザー側で施工面や図面などに貼る。スマホアプリで読み取れば、製品名や施工日、会社情報などが表示される仕組み。システム利用により、ユーザー企業のPR以外にも、どこの会社がどのメディアでどのように施工したかなどが、シリアル番号を問い合わせるだけで判明するようになる。なお、QRコードを読み取るアプリには、ブロックチェーンをベースにしたリーガルテックが輸出品の真贋判定に用いているサービス「HyperJ.ai」を用いる。

なぜブロックチェーンなのかについては、先ごろ話題となった大手金融機関でATMの取引が不能となったケースをはじめ、既存の中央集権型システムでは、基幹となる管理システムがダウンしてしまうと機能不全に陥ってしまうが、ブロックチェーンではシステムが参加者全員にシステムを分散するため、一部が落ちても問題が起きることがない。また、取引や売買の処理(トランザクション)を改ざんすることや記録を抹消することが不可能なので、商取引上の高い信頼性も特長とされている。

当面は、ユーザーを募り防火認定の申請管理でテストしていくが、将来は、看板管理、屋外耐候5年の品質保証システム「グラフィカル5」、「パロア」の施工情報管理にも、適用を見据えている。

東京2020大会での採用実績の報告では、リンテック建装工材営業部 建装材グループの担当者がオリンピック最上位スポンサーのダウ・ケミカルと剥離紙の部分でともにメディアを開発し、「サイン、装飾、クリーンヴェニュー(目隠し)の用途で、トータルで約13万㎡のメディアを出荷した」と施工事例を交えて解説した。

最後は、リンテックサインシステムの注目ラインアップを披露。その1つでは、五輪で採用されたグラフィカル6製品を大型イベント向け指定製品として、在庫限りのキャンペーンを展開。6製品の内訳は、面で貼るのではなく点で貼る新技術「超エンボスマット構造」を備えた看板目隠し用IJPメディア、同様の構造を持つ塩ビメディアの上に隠す目的で施工する車両用メディア、それぞれに対応するラミネートを価格を抑えた形で市場に供給する。

大型イベント向けキャンペーンのグラフィカル6製品

このほか、フロアマーキング施工でフロアデコと相性が良く凹凸のある路面と接着力が高い合成ゴム系プライマー「FMP-4300」、防火認定取得済みの低溶剤またはラテックスインク対応の内装用化粧シート「ウオルコスSO」も、重点的な販売製品として訴求した。

説明会後には、ショールームに会場を移し、エプソンのレジンインク搭載機「R-5050/R-5050L」やキヤノンの毎時40㎡の高生産性を誇る「Colorado 1650」のプレゼンを行った。

締めくくりに、リンテックサインシステム 代表取締役 小島一仁氏は「コロナ禍のなか、2年ぶりにサテライト会を催すことができたことに感謝したい。当社の強みは、施工と技術が一体となり、防火やF☆☆☆☆といったコンプライアンス、さらにプリンテリアクリア機に代表されるようにIJPメーカーとの提携で、しばらくは厳しい状況が続くであろうサイン・ディスプレイ業界のユーザーを強力にバックアップできることだ」と力強く語った。

リンテックサインシステム 代表取締役 小島一仁氏

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