帝国データバンクは12月8日、「全国企業倒産集計」の2023年11月報を発表。そのなかで、後継者不在のために事業継続の見込みを立てられずに倒産した「後継者難倒産」の数が、12月を残して年間最多件数を更新し、初めて500件を突破したと明らかにした【図1】。
長年にわたり、経営者の高齢化と後継者不足に悩まされるサイン業界。しかし、同様の悩みを抱えている企業は業界外にも数多い。
前述した通り、2023年の後継者難倒産の数が歴代最多を記録。11月だけでも46件発生し、1~11月の累計件数は509件となっているという。
内訳を見ると、厳しい経営状況によって事業承継をためらい、倒産に至った「販売不振」のケースが、269件で大半を占めた。次いで、「経営者の病気、死亡」により経営者が不在になってしまったのは210件。また、一度は後継者によって事業承継されたものの、事業継続が困難になったケースも目立った。
とはいえ、2023年の「後継者不在率」は53.9%と、前年の水準を6年連続で下回る結果となり、後継者不足問題自体は改善傾向が続いている【図2】。しかしその一方で、一般的に事業承継の適齢期とされる60歳代の代表者に限ると、後継者不在率は37.7%。さらに70歳代も、29.8%が後継者を決められていない。事業承継において最も重要な年齢層の課題が解決されているわけではないため、後継者不足は引き続き日本全体の抱える大きな社会問題だと言えるだろう。
帝国データバンクは、今後も後継者難倒産は増加する可能性が高いと予測。その理由としては、後継者不在のなか、十分に業績が改善しないままにゼロゼロ融資の返済や各種コスト負担などに追われる企業は増えつつあるためだ。サイン業界も、もちろん例外ではない。各企業が強い意識をもって、後継者不足に歯止めをかけていきたい。