京セラは3月13日、繊維・アパレル業界の社会課題の解決を目指したプロジェクト「TRUE BLUE TEXTILE」の開始を発表。その発表会では、水の使用量を極限まで削減したインクジェット捺染プリンター「フォレアス(FOREARTH)」による生地「TRUE BLUE TEXTILE」を紹介した。
同プロジェクトのコンセプトは、「水をまもるために、まとう」。日本で最も美しい水質を誇ると言われる高知県・仁淀川の水を用いた水面の柄をプリントした生地「TRUE BLUE TEXTILE」で製作した衣服をファッションとして身に着けてもらい、繊維・アパレル業界における社会課題を知り、考えるきっかけを促す取り組みだ。
従来の繊維・アパレル業界では、生地を染める際に、スチームや洗浄などの工程で大量の水を使用しているため、その排水による水質汚染が世界的な問題となっている。加えて、在庫過多による大量廃棄問題も注目されており、早急な対応を迫られているという現状がある。それらを啓蒙するために、今回のプロジェクトが発足されたそうだ。
生地を出力したのは、独自開発の顔料インクで柔らかな風合いと高い堅牢性を両立させた、インクジェット捺染プリンター「FOREARTH(フォレアス)」。顔料インクと前後処理液を同時に印刷できる新型プリントヘッドを搭載し、印刷と乾燥以外の工程を一切不要とする特徴を持つ。従来の染料インクによるアナログ捺染に比べ、水使用量を99%削減。これまでの捺染に必要だった前後処理機やスチーマーなどの大規模な設備機器も不要になり、エネルギー消費量とCO2排出量の削減にも貢献しているマシンだ。
そして「TRUE BLUE TEXTILE」のデザインを手がけたのは、光の反射する素材使いや球体・立方体などの近未来的デザインを得意とするANREALAGEのデザイナー・森永邦彦さんと、バンタンデザイン研究所。国土交通省が実施している全国一級河川の水質調査において10年間で8回も水質ランキング日本一に選出されているという高知県・仁淀川の水面をデザインモチーフに、合計5着の衣装を製作した。記者発表会では、タレントの山田優さんが同生地によってつくられたドレスを着用して登場し、森永さんとトークセッションを行った。
その後、関係各者を集めての記念撮影を実施。井上浩之高知県副知事や、バンタンデザイン研究所のデザイナー・西谷純さん、山田優さん、森永さん、京セラの執行役員 経営推進本部長・濱野太洋さんが並んで笑顔を見せた【アイキャッチ画像】。
また今回披露された衣装などは、3月16日から17日にかけて東京・渋谷PARCO、3月22日から24日にかけて京都・京セラ美術館でそれぞれ展示。先着順で、TRUE BLUE TEXTILEの生地を無償提供するキャンペーンも行われた。