4月25日に4都府県で発令された3度目の緊急事態宣言。酒類やカラオケを提供する飲食店に対しては、時短営業ではなく休業要請が出されるなど、これまでよりも非常に厳しい措置となった。
このようななか、サイン業界にも直接的な影響を与える措置がとられた。東京都の小池百合子知事は23日午後の定例会見で、20時以降は外灯以外の灯りを全て消すよう要請すると発表。会見で小池知事は次のように述べた(該当部抜粋)。
地域の街づくり団体などが主催している、大規模施設のイルミネーションイベントの中止や、点灯時間の短縮は引き続きお願いしていく。これだけではなく、街頭の明るい照明を伴う看板、ネオン、イルミネーションなども停止をしていただくお願いをする。夜は暗い。外灯のみが灯るということに結果としてなる。よって、外灯を除いて全ての灯りを消すよう徹底していきたい。
続けて、東京のまち並みから灯りが消えたオイルショックや東日本大震災を例に挙げ、「当時の目的は電力の節約だったが、今回は人の流れを抑制するための措置。それぞれの関連団体を通じてお願いしていく」と説明した。
26日には「屋外広告物の消灯についてのお願い」と題した書面が、小池知事から日本アドバタイザーズ協会、日本サイン協会、日本屋外広告業団体連合会、東京屋外広告協会の4団体トップに向けて送られた。その内容は下記の通り(原文一部抜粋)。
特に、20時以降の不要不急の外出の徹底を求めていることや、いわゆる「外飲み」等が問題となっていることから、デジタルサイネージ、屋上や壁面等の屋外広告物(防犯対策上、必要なもの等を除く)の緊急事態宣言期間中における20時以降の消灯へのご協力について、会員の皆様への周知をお願いいたします。
こうなると、コロナ禍による屋外・交通媒体へのさらなる影響は避けられないだろう。これまでも20時以降は人の流れが抑制されるため、リーチ数の減少は否めなかった。しかし、ほとんど広告が見えない状態になると話が全く変わってしまう。
なお、酒類やカラオケを提供しない飲食店には、20時までの時短営業を要請。飲食店以外も1,000㎡を超える施設は休業要請、1,000㎡以下の施設には休業の協力依頼がかけられている。つまり、生活に不可欠なサービスを提供する事業者のみ、20時以降の営業について例外となる。例えば、生活必需品を手軽に購入できるコンビニは、都内だけでも店舗数が7,000件を超える。それらのファサードやポール看板が一斉に消灯したら、どのような影響を生むのだろうか。
著名な話だが、世界のOOHを牽引する米・ニューヨークのタイムズスクエアは、防犯上の意図から屋外広告を24時間点灯させる方針をとっている。
- アイキャッチ画像は緊急事態宣言発令後の渋谷スクランブル交差点のようす(26日20時撮影)
- 27日に記事の一部を修正・加筆しました