電通グループは12月、世界58カ国・地域のマーケットから収集したデータを取りまとめた、「世界の広告費成長率予測」を発表した。
これによると、2023年の広告費成長率予測は、不透明な経済状況による消費活動の減少などにより、6月時点予測の3.3%から0.6ポイント下方修正の2.7%となる見込みだ。その一方で、市場全体の規模は、マーケットの成長に加えて為替の影響により、初の100兆円超えとなる「約106兆円(7,198億米ドル)」で推移する想定。デジタル広告が引き続き市場をけん引し、世界の総広告費に占める割合は過去最高の57.7%に達する見込みとなっている。
次に、2024年の成長率は4.6%で、市場規模は約111兆円(7,528億米ドル)と予測。この背景として、複数の大型スポーツイベントや、多くの国で実施予定の国政選挙などにより、広告主にとって多くの出稿機会が生まれる点を挙げている。さらに、地域別でも全てがプラス成長の見込みで、特に北米とラテンアメリカの米州は、2024年は市場規模だけでなく成長率でも12.7%のトップになると予測している。
2024年の媒体別としては、デジタル広告費が6.5%の高成長を維持し、総広告費に占める割合は58.8%に達すると予測。テレビ広告は、2023年はマイナス4.0%で推移するものの、2024年以降は再びプラス成長に戻る見通しとなっている。継続して減少傾向にある新聞・雑誌は、マイナス3.3%で推移。屋外/交通広告のOOHは、4.4%の成長を予測している。
世界3位の広告市場である日本の2024年は、5月発表予測の3.2%から0.7ポイント下方修正した2.5%の成長を見込む。OOHは、コロナ禍の影響から回復し、3Dや大型LEDビジョンといった新たなフォーマットの貢献から引き続き拡大が見込まれるとしている。 今後も日本の広告市場は成長が継続し、2025年は3.6%の成長で推移するとまとめた。
続く2025年と2026年にかけても、世界の広告市場は堅調に成長する見込みで、2025年が4.2%増の7,846億米ドル、2026年は4.3%増の8,184億米ドルと予測。なお、総広告費に占めるデジタル広告の割合は、2025年に59.9%、2026年には61.1%と初めて60%台に達する見通しだ。