国内の有力な広告主企業・団体を会員とする日本アドバタイザーズ協会(JAA)は1月12日、「第61回JAA広告賞 消費者が選んだ広告コンクール」の入賞作品を発表した。最高賞のJAA賞グランプリは、全6部門から北海道新聞社、味の素、岡山トヨペット、ニッポン放送、相鉄ホールディングス、森永製菓の各社が受賞。経済産業大臣賞はニッポン放送に決定したほか、全61作品が入賞した。
このJAA賞は、審査員に広告の関係者を含まず、広告の受け手である消費者が生活者の視点から審査する、世界でも類を見ない総合広告賞。今回の応募総数は、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、デジタル、屋外・交通の6部門合わせて879点となった。審査基準は「好感、共感、親近感がもてる広告であるか(感性)」「わかりやすく、納得できる広告であるか(理性)」「オリジナリティが感じられる広告であるか(創造性)」のもと、116人の一般消費者が約1カ月間にわたって選考した。
屋外・交通広告部門のJAA賞グランプリは、森永製菓の「ひっそり合格祈願」が受賞。審査員の評価として、「赤シートの効果をうまく使った受験生への応援メッセージがステキ」「元気が出る!温かみがある!!励まされる!!!」「赤シートに着目がとってもユニーク」「広告の受け手自ら広告創りに参加する参加型・体験型が素晴らしい」「企業の取組みがわかりやすく伝わった」といった声が寄せられている。
審査講評で芳賀康浩審査員長は、「今回は、コロナ禍による行動制限が解除されて初めてのコンクールでした。そこで気付いたのは、近年のマーケティングでの注目ワードにもなっている『パーセプション・チェンジ(認識変容)』を狙う作品が目立った点です。コロナ禍は私たちの生活を大きく変え、その変化の一部はこれからコロナ前に戻るかもしれませんが、コロナ前に戻らないものもたくさんあります」と述べた上で、パーセプション・チェンジを訴える作品は、それぞれのアドバタイザーが考える、より良い生活の提案だとも言える。企業やブランドのパーパスが問われる時代、どのような提案が出てくるのか、どのような提案が受け入れられるのかという観点で広告を見ていきたいと感じた今回のコンクールだったと結んだ。