ジェイアール東日本企画のjeki応援広告事務局(Cheering AD)は2023年12月26日~2024年1月9日、応援広告の浸透状況を把握するためのアンケート調査「推し活・応援広告調査2023」を実施。その結果を、3月21日に発表した。「応援広告」の推定市場は377億円を記録し、昨年よりも拡大していると分かったという。
「応援広告」とは、一般消費者が屋外メディアや交通広告、デジタルサイネージなどを活用して、自身の好きなアイドル、アニメキャラクターなど、いわゆる“推し”を応援する取り組み。企業のPRなどとはまた違った新たな広告手法として中国を中心に流行し始め、近年は国内でも、広告代理店、デザイン会社といった多方面の業種から注目を集めている。
jeki応援広告事務局は、2021年から応援広告に関するサービスを開始。昨年度の応援広告の掲出実績は300件以上を数え、ユーザーからも高い評価を得ているという。
ここからは、調査結果の詳細を見ていく。まず今回行った調査では、1都3県、15~69歳の男女1万9,202人を対象に、Web回答によるアンケートを実施。そのうち、約4割が推し活を「経験あり」と回答した【図1】。特に15歳~29歳の女性に絞ると、約6割が「経験あり」。50~60代男女も約4人に1人が「経験あり」と回答し、世代を問わず、幅広い年代で推し活は流行していると分かった。
さらに内容について深掘りすると、「映像鑑賞」は57.5%、「コンサート・舞台・試合等への参加」は47.1%、「グッズを買いに行く」は37.4%で、それぞれ上位に挙がった【図2】。一方で、「応援広告を見に行く・巡る」は7.9%、「応援広告を企画・出資する」は4.9%と、ファンが主体となり、広告を掲出するケースも少しずつも盛んになっているようだ。このほか、「推しが広告出演する商品を買う」(24%)や、「推しの誕生日や記念日を祝う」(23.2%)、「推しが出演する企業広告を見に行く」(19%)など、応援広告に関連する項目に力を入れているファンも多い。
加えて、推し活経験者の約3割が地方遠征や海外を含めた長距離移動を経験している点も、見逃せないポイントだ【図3】。その要因を見てみると、「聖地巡礼」「ファン同士で集まる」「応援広告を見に区行く」など、推し不在でも遠征モチベーションにつながっていると分かる。特に応援広告は韓国発祥のカルチャーであるため、海外へ行く比率を上げている可能性も高いだろうと考えられる。
2021年頃から日本に普及し、少しずつ取り組みも増え始めている応援広告。では、実際の認知率はどれほどなのか。推し活経験者のうち、「応援広告を知っている」と回答したのは、全体で44.3%。そのうち2割は、「実際に見た」と回答した【図4】。特に高い数値となったのは15歳~29歳の男女で、認知率は約6割~7割。やはり若者層は、より高い興味を示しているようだ。