都内の中小企業を対象とした経営課題に関するアンケートを実施。建設業の53%が売り上げ増加と好景気も、約8割は人手不足を実感 東京商工会議所

東京商工会議所で主に調査研究を行っている中小企業委員会は9月25日~10月20日 の約1カ月間、東京23区内の中小企業・小規模企業を対象とした「中小企業の経営課題に関するアンケート」の調査を実施。1,429社から回答が得られ、その結果を12月13日に発表した。

対象企業の業種・業歴は【図1】の通り。サイン業界に関連深い建設業は、全体の14.5%に該当するようだ。

【図1】回答社の業種、業歴

その結果、2023年1月~9月の売上高を昨年同時期と比較すると、「増加」の回答が47.7%。「減少」の21.3%を26.4ポイント上回り、全業種において景況の回復傾向が見られた【図2】。なかでも顕著な傾向を見せたのは飲食・宿泊業で、全業種最多の87.5%が「増加」と回答。さらに、「減少」と回答した割合もわずか3.1%と、最も少ない数字を残した。

【図2】2022年1月~9月と比較した2023年1月~9月の売上状況

一方で建設業は、53%が増加と回答し、こちらは全業種中2番目に多い数値となった。コロナ禍の影響も徐々に無くなりはじめ、大規模な工事やエリアの再開発、新店舗のオープンなどが増え始めた影響だと考えられる。

とはいえ、価格高騰の波は悪化の一途をたどっている。コストの状況については、「原材料・仕入費用」、「エネルギー費用」を昨年同時期と比較すると、「上昇」の回答が約75%。「労務費・人件費」、「その他経費(運送費、広告費等)」においても「上昇」の回答は約65%に昇り、全てのコストが上昇している傾向にあると分かった【図3】。とりわけ30%以上上昇した割合も約15%を記録し、業種を問わず、コスト増加に苦しんでいるのが分かる。

【図3】2022年1月~9月と比較した2023年1月~9月のコスト状況

さらにその影響は、収益状況にも影響を与えている。直近決算期である前期と前々期を比べると、黒字企業の割合こそ1.4ポイント増加の59.8%となったものの、収益見通しは「収支トントン」と回答する割合が30.4%と12.2ポイントの増加傾向【図4】。コストが増え、収益を減らしてしまっていたり、先行きの不透明さから慎重な判断を余儀なくされるケースも多いようだ。

【図4】前期と前々期を比べた収益状況

とはいえ、それら利益や手元資金の主な使途としては、前向きな回答が多く寄せられた。「従業員の賃上げ」を挙げる企業が最も多く、62.3%を記録【図5】。このほか、「人材確保(採用活動等)」「人材育成・福利厚生の充実」と、人材に関する項目を回答した企業は全体の76.9%に昇り、若手育成への意識の高さを感じる一方で、人手不足を実感するような結果となった。

【図5】経常利益や手元資金における今後の主な使途

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