フジテックスは7日、インクジェット出力企業へ向けた顧客獲得セミナー「動画活用×印刷ビジネスの最前線と戦略策定」を福岡国際センターで開催した。
セミナーは、5月31日から大阪で開催の「JP2019・ICTと印刷展」と、6月7日から福岡で開催された「2019九州印刷情報産業展・九州サイン&デザインディスプレイショウ九州印刷情報産業展」の両会場で行われた。
講師には、自動車メーカーの販促・CSR事業をはじめ、さまざまな業界の新規事業プロジェクトマネジメントを行う傍ら、宣伝会議でも「web動画クリエイター養成講座」などの講師を務める前田考歩氏を招き、顧客・ユーザーにとって価値のある「動画」コンテンツとは何かについて、実例を交えながら解説した。
冒頭、フレイ・ スリーが提供する動画制作アプリ「1Roll(ワンロール)」の機能を紹介。これは、動画コンテンツを自社で作りたいというニーズから生まれたサービスで、絵コンテに沿って動画素材を当てはめれば、ほぼ自動でコンテンツの制作から配信・解析まで行える。2万件以上の採用実績を持ち、前田氏は自身がサポートしている動画活用プロジェクトの事例に触れた。
次のテーマである「印刷ビジネスに携わる皆様が、どんな動画ビジネスを行うべきか?」では、具体的な動画制作の手法と販売方法について説明した。セミナーの参加者に、普段どのような動画を観ているか投げかけ、「ビジネスにおける動画・映像コンテンツはテレビCMと全く同じではない」と指摘。『情報の地(情報を乗せる場所、目的)と図(表現方法)』というキーワードから、CVR向上、ブランディング、イベント告知・レポート、来店・来場促進、営業推進・ノウハウ共有、見込み客育成、離脱阻止、顧客満足度向上、採用促進など、「web動画で実現したい目的や解決したい課題は何か?」という狙いを最初に整理する必要性を説いた。
前田氏は続いて「情報の地」について、「その動画はどの媒体で、どのような仕様で見せるのかが大切」と語り、自社発行の広報誌やパンフレット、インターネットの自社webサイト・ブログ、SNS、webリリース、社内イントラ、QRコードからの誘導、htmlメール、デジタルサイネージ、営業が持ち歩くタブレッド端末などの具体的な掲出先、そして媒体ごとの活用方法を示した。先に整理した狙いに応じて、どのような媒体に載せるべきか、それが肝要と語った。
「web動画とテレビCMの違い」では、番組と番組の間という放送する枠が限られているテレビCMに比べ、webは多様で膨大な媒体が存在する。テレビCMなど従来の動画コンテンツが画面全てを占有していたのに対し、web動画はディスプレイの一部に表示されることが多く、動画だけでは表現しきれない部分をテキストで補うこともできる特性を強調。「全ての情報を動画で伝える必要はない。テキストと動画双方の長所を組み合わせることで、コンテンツの目的達成度を向上できる」
「あなた(クライアント)とユーザーの関係・文脈は?」では、ユーザーがあらかじめ動画の内容に興味を持っているかいないかで、制作するコンテンツの内容を変える必要がある点を解説。「TVCMは、見たくて見ているわけではない。ユーザーの志向・行動との関係性が低いほど、これから興味を持ってもらうために“心”動かす動画が必要になる」。心を動かす動画の制作には、高いセンスやコストが求められるとし、そのようなCMを作るメソッドとして、誇張や擬人化など具体例を海外のテレビCMを見せながら紹介した。