帝国データバンクは10月3日、全国2万3696社を対象に2019年9月の国内景気動向を調査・集計し、その結果を発表。これによると、景気DI(ディフュージョン・インデックス)は前月比0.3ポイント増の45.0と、小幅ながら2カ月連続で改善した。製造業は悪化が続くものの、建設需要の押し上げ、駆け込み需要が好影響を与えた。
9月は、 消費税率の引き上げを翌月に控え、 緩やかながらも駆け込み需要が耐久財や高額品で発生。 軽減税率対応への需要も好材料となった。公共工事の前倒しや東京五輪を控えた建設投資から工事関連も活発化。 燃料価格の低下やラグビーW杯日本大会の開催もプラス材料となった。
一方、世界的な自動車販売や半導体関連の低迷や、工作・産業機械の受注減を背景に製造業の悪化は続く。深刻な人手不足が負担増につながっているほか、台風15号の被害により一部地域で企業活動が停滞した。
業界別では、小売、建設、サービスをはじめとした8業界が改善、 製造など2業界が悪化。小売を中心に緩やかな駆け込み需要がみられた一方、自動車や半導体関連の低迷を受け、製造は悪化が続いている。
地域別では、東北、南関東、九州など10地域中8地域が改善、北関東と北陸の2地域が悪化した。 ホテル建設の活発化や公共工事の前倒しが好材料となった一方、 中国経済の減速や設備投資意欲の伸び悩みに加え、一部地域で台風15号の影響も大きかった。
今後は、消費税率の引き上げによる、消費の落ち込みが最大の懸念材料。貿易摩擦を背景とした、世界経済の低迷による輸出と設備投資の減速、加えて人件費や燃料費などの負担も重荷になる。
また、日韓関係の悪化や世界的な金融緩和政策の動向、地政学的リスクがもたらす影響は、 注視する必要がある。しかし、政府の経済対策や都市部の再開発、東京五輪、省力化投資などはプラス材料になると予測。今後の国内景気は、消費の落ち込みに加えて、輸出減速や設備投資の慎重化など懸念材料が多く、不透明感が一層強まっていくとしている。