札幌市は15日、2015年2月に札幌市中央区で起きた看板落下事故を受け、「有資格者による点検」を義務化する方針を固めた。違反者には罰金30万円以下を科す見通し。本年度内に市屋外広告物審議会が「屋外広告物条例」の改正案をまとめ、市議会に提出し来年4月の施行を目指す。
改正内容の柱は、【1】掲出許可更新の際、「屋外広告士」のほか、講習を受けた「一級建築士」など、市の定める要件を満たした専門知識を持つ国家資格取得者による劣化状況の点検実施、【2】看板の種類に応じて定められた1年もしくは3年ごとの掲出許可更新と同時に、所有者らが市に点検結果の報告書を提出する――の2点。無資格者による点検など、安全基準を満たしていない虚偽の報告が発覚した場合、30万円以下の罰金が科せられる。
全国の自治体でも点検の義務化は進んでいるが、事件の当該市となった札幌市でもようやく義務化の方針が打ち出されたかたちだ。改正条例の内容は先行して条例を見直した自治体と大きくは異らず、国交省が示した「屋外広告物条例ガイドライン(案)」に準じた内容となっている。ただ、札幌の事故で判明した定期点検の形骸化を踏まえ、有資格者を点検者としない場合には罰金30万円以下を科すという実効性のある看板点検の履行を求めている点が、より一歩踏み込んだ法令の枠組みと言えるだろう。