世界有数の国際広告会社、マッキャンエリクソンを擁するマッキャン・ワールドグループ ホールディングス。同グループでは3月31日、日本を含む世界14カ国で実施したCOVID-19パンデミックに関する各国・各世代の意識調査「コロナウィルス時代における人間にまつわる真実 第1回」の結果を明らかにした。
これよると、新型コロナウィルスの感染拡大に対し、自国政府の対応体制が「整っている」「とても整っている」と回答した人は、全世界で31%にとどまった。「体制が整っている」と最も多くの回答者が答えたのは、インドの55%とトルコの51%で、日本では18%の結果となった。
マッキャン・ワールドグループでは、世界各国で感染拡大防止に向けた個人の意識が高まる一方で、政府機関や政治の指導力に対する信頼の喪失が起きているとしている。同調査によれば、世界の39%の人が「政府等の機関が私たちを守るべきだ」と感じているのに対し、61%の人が「自分の安全は自分の責任」と考えているという。
この調査結果で驚くべきは、パンデミックによる「プラスの影響」を感じている人が90%以上に達している点だ。54%が「人生で本当に大切なものを考える機会になっている」、39%は「家族との時間が増やせる」と捉えている。また、37%は「二酸化炭素排出量が減る」などと前向きに考え、17%が新型コロナウィルスによって生み出されたさまざまな新しい文化や習慣を楽しんでいるとした。
国によっては、命を失うリスクよりも経済的打撃への恐れが強い。経済不安が最も強かったのは米国の56%、カナダの54%、日本の54%。多くの死者が出ることを最も懸念していたのはアルゼンチンの53%と英国の52%。失業を最も恐れているのは日本の35%とカナダの29%という結果になった。
このパンデミックにより、人種差別が強まるのを懸念する若者も増えつつある。米国では18~24歳の22%が「懸念している」と回答しているものの、45~54歳は10%。スペインでは18~24歳の17%が「懸念している」のに対し、45~54歳では9%となった。
そして、未だ世界全体の3人に1人に当たる36%が「例えコロナウィルスに感染したとしても、自分は大丈夫だと思う」と考えている。日本13%やイタリア19%など拡大状況が長期化している国では、楽観視する回答者が最も少ない傾向にあるものの、米国58%、カナダ54%、英国47%は「自分は大丈夫だ」と捉える人が過半数前後におよぶ。
なお、「メディアは不要にパニックを煽っている」と感じている人が多かったのは日本の56%と英国の53%に対し、少ない傾向にあったのはスペインの29%とイタリアの29%となった。
マッキャンエリクソンの松浦良高プランニング本部長は、次のようにコメントする。「本調査は世界14カ国で実施したため、各国における生活者の心理状態を相対化し顕著に読み取れます。日本の生活者は、経済的なインパクトを心配しているとよくわかります。新型コロナウイルスによる心配事として『自分の仕事が失われるかもしれない、あるいは経済的に苦しくなる』というスコアは3分の1を超え、各国の中で最も高い数値です。このような状況下、日本人は組織やマスコミなどに頼るのではなく、『自分の安全は自分で守らないとならない』という意識が70%にまで高まっているのは、非常に興味深い状況です」