大手交通広告代理店のNKBは、NECと共同で次世代高速携帯通信規格・LTE(Long Term Evolution、ロングタームエボリューション)に対応した鉄道車両向けの自立通信型車内ビジョンシステムを開発、10月26日から販売を開始した。
これは、各車両に設置するデジタルサイネージ(以下DS)と、広告を一括管理・制御するクラウドシステムで構成されたもの。さらに鉄道会社の運行情報配信システムとも連携し、広告や運行情報といったコンテンツをLTEで配信する。各車両のDS1台にコンテンツをLTEで配信後、そのDSから同一車両の他のDSに無線LANで配信する仕組みだ。女性占領車両へ向けた広告など車両ごとのニーズに合わせた広告配信や、走行中に受信したニュースなどの情報をタイムリーに提供することも可能だ。
従来の主な配信システムでは、駅などに設置した地上設備から先頭車両の中央装置に無線でコンテンツを送信、あるいは中央装置にUSBメモリでコンテンツをコピーし、中央装置から各車両へ有線で配信している。このシステムでは、各車両のDS装置にコンテンツを直接配信するため、地上設備や中央装置、配線工事が不要であり、新造車両のみならず既存車両にも低コストでシステムを導入できる。
今後、NKBとNECは、J-ALERTなど緊急時情報との連携や、電車位置情報との連携によるロングテール企業の広告掲載に取り組むとともに、鉄道会社各社に拡販を進め、今後3年間で3000台(DS装置)の販売を目指すとしている。